しがみつく信仰

「私の栄光と、私がエジプトと荒れ野で行ったしるしを見ながら、十度も私を試み、私の声に聞き従わなかった者は誰一人として、私が彼らの先祖に誓った地を見ることはない。私を侮る者は誰一人としてそれを見ることはない。」 (民数記14章22-23節)
 エジプトの奴隷状態から解放され、約束の地カナンへ向かっていたイスラエルの民は、大声で泣き叫んでいました。カナンの地へ偵察に行った10人の報告を聞いたからです。あの土地に大きく手強い敵がいて、とても入っていくことはできないと・・・。それを聞いた民は絶望したのです。「こんなことならエジプトの方が良かった、このままカナンに行ったら殺されてしまう、エジプトに帰った方がましではないか・・・」。 カナンの地は、神様が導き入れようとした約束の地です。それまで守り続けてくださった、主なる神の力を信じられなかったのです。奴隷から解放してくださったこと、世界最強のエジプト軍から守ってくださったこと、荒れ野での日々の食べ物と水を与えてくださった大いなる恵みを、簡単に忘れてしまう人間の姿です。結局、神を信頼できなかった彼らは約束の地カナンへ入る前に、子孫を残して亡くなってしまいました。約束の地に入ったのは、いつも神を信頼し続けたヨシュアとカレブとその他の子孫たちでした。 わたしが子どもの頃、父と海に泳ぎに行った時、父の首にしがみついて沖まで泳いだことがあります。砂浜から離れていって不安になっても、水の冷たさを感じて怖くなっても、父にしがみ付いていれば大丈夫だという信頼がありました。幼かった私は純粋に信頼していたのです。 でも、もしそんな父への信頼がなくて「なんでこんな沖まで連れて来たんだよ。水が冷たくて寒いじゃんか!」「わっクラゲがきたじゃん!」「サメが来たらどうしよう。どうしてこんな沖に連れて来たんだよ」と言って、手を離してしまったら私の命はなかったでしょう。しかし、お父さんなら大丈夫、しっかり父に掴まっていたら大丈夫という信頼があったから守られました。父なる神様への信頼が私たちの命を、永遠の命を守ってくれるのです。
《祈り》神さま、お願します。あなたから離れないという意志を、あなたを掴み続ける力を、あなただけを信頼する愚直さを与えてください。
牧師 和田一郎
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