ルターの妻

「あなたがたは、それぞれ賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を用いて互いに仕えなさい。」 （ペトロの手紙一4章10節）
　宗教改革者ルターは、もともと修道士であったので、結婚というものは考えていなかったそうです。その頃、ルターの考えに共鳴した修道女9人がルターのもとに身を寄せてきて、彼女たちの落ち着き先をルターが世話をしたのですが、カテリーナという女性一人が残り、この女性と結婚することになりました。ルターは42歳、カテリーナは27歳でした。ルターは結婚後「私は狂わしいほどの愛に夢中になったわけではありません・・・彼女は神さまが与えてくださった賜物です。」と言っています。ところが1年たつと「私は彼女をクレススの全財産とも取り替えよとは思いません」と言い切るほど、この結婚を喜んでいます。つまりルターは結婚してから恋に落ちたのです。カテリーナは有能でユーモアの持ち主でもあったようです。ルターが行き詰まって塞ぎこんでいた時、喪服を着たカテリーナが部屋に入ってきます。ルターは驚いて「誰か亡くなったのか？」と聞くと、彼女は「あなたの大切なイエス・キリストが死にました」と言いました。ルターはハッとさせられ、我に返って仕事に取り組んだのです。また、彼女が病気になった時にルターは「私をおいて死なないでくれ」と叫んだといいます。カテリーナはルターのことを生涯「博士殿」と呼んで敬い続けました。ルターは62歳で天に召され、6年後にカテリーナは53歳で召されました。 ルターは彼女のことを「神さまが与えてくださった賜物です」と言いましたが、「賜物」は英語では「ギフト」。それは神さまが好意を持って、私たちに与えて下さる素晴らしい贈り物、無償のプレゼントです。聖書「ペトロの手紙」では互いの「賜物」を用いて互いに仕えなさいと教えていますが、それが単数形で書かれています。単数形なのは決定的に大切なただ一つの贈り物を私達はすでに与えられているということを表しています。神さまは素晴らしい贈り物を無償で、すでにお与え下さっている。夫や妻や子どもたち、父母、友人も贈り物です。この贈り物を感謝して互いに仕えていきましょう。
《祈り》神さま、あなたは何ものにもまさる愛によって、賜物を与えてくださいました。そのあなたの御心を私の心とさせてください。あなたの真実な心、やさしい心、広い心、温かい心で賜物を大切にできるように。
牧師　和田一郎
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