そんな前例はない

「執拗に頼めば、起きて来て必要なものを与えてくれるだろう。」 (ルカによる福音書11章8節)
 私が幼い頃、母の教会の友人に誘われて母と私は玉川学園に行った。坂を登った先に校舎があったことと、讃美歌を聞いたこと、清らかな雰囲気を覚えている。その讃美歌がピアノなのかオルガンで奏楽されたのかは覚えていないが、幼い私は「ここ教会?」と聞いたことを覚えている。 聞くところによると玉川学園の創始者、小原國芳(おばら くによし)氏は、欧米を旅したときにパイプオルガンの荘厳な響きを何度も聞いて、なんとしても玉川学園にパイプオルガンを置きたいと思ったそうだ。そこで渡米の際に、パイプオルガン製造を手掛けるキンボール社を訪ねた。「なんとか10年年賦で売ってもらえないか」と交渉するが「そんな前例はない」とキンボール社側は大笑い。 しかし小原氏は「飛行機は前例がなくても、飛んだじゃないか。アメリカでも前例、前例というのか」と熱心に談判を続けると「わかった。せめて3分の1は前金で払ってくれ。あとは3年の分割払いでよろしい」と、購入が決まったのだという。(小原國芳 著『教育一路』)  「熱心さ」というのは信仰において大切な要素です。神さまに何かを願うとき、祈るとき、ことが重要であればあるほど人は熱心に祈るものです。心の中を見ておられる神さまはその熱心さを受け入れてくださるのです。 イエスさまのたとえ話。ある人が、真夜中に友人の家の戸口をドンドンとたたき「パンを三つ貸してください。旅の途中の友人に出すものがないのです」と大声で叫んだ。すると「面倒をかけないでください。もう夜遅いし子どもたちは寝ています」と迷惑がって断るだろう。 しかしイエスさまは「執拗に頼めば」、つまり熱心に頼めば起きてきて必要なものを与えてくれるのだ、と言っておられます。「そこで、私は言っておく。求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。叩きなさい。そうすれば、開かれる」(ルカ11:9)。 このように、神さまは熱心に求める者に、喜んで良い物を与えようとしておられるのだから「もっと大胆に求めなさい。おまえの信仰は小さくないか?」とイエスさまは問うているのです。
《祈り》主よ、あなたは熱い思いをもたれている神です。御自分のことを熱情の神とおっしゃいました。ですから、私たちの熱心さを知ってくださいます。あなたに信頼します。大胆に、熱心に祈らせてください。
牧師 和田一郎
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