40日のギブアップ

「さて、イエスは悪魔から試みを受けるため、霊に導かれて荒れ野に行かれた。そして四十日四十夜、断食した後、空腹を覚えられた。」 (マタイによる福音書4章1-2節)
 いまキリスト教会はレント(受難節)の期間を過ごしています。イースター前の日曜日を除く四十日間をレントといいます。「受難」というのはイエスさまが十字架によって苦難を受けられたことを意味しており、イエスさまが荒れ野で断食をしたあと四十日間、祈られたことにちなんでいます。 伝統的にキリスト教会では、レントの期間中は断食(肉食をしないこと)をして身を清め、十字架にかかられたキリストの苦難に思いをよせる期間としてきました。現在欧米の教会では、レントの四十日間に我慢するものを「things to give up」とリストアップしてやらない宣言をするそうです。たとえばよくリストにでてくるのは「大好きなチョコレートを食べない」、「禁酒する」、「肉を食べずにビーガンにする」、「炭酸飲料を飲まない」、「SNSを絶つ」などなどです。贅沢を控えてういたお金を「克己(こっき)献金」として献金する習慣もあります。「仕事ちょっと忙しいしいし、面倒だなあ・・・」という思いがよぎっても、「いや、レントで決めたことだから四十日間だけはやってみよう!」と気分を切り替えると実行に移しやすくなります。  聖書において「四十日」という日数は苦難と試練をあらわしています。ノアの箱舟の洪水は四十日続き、モーセが十戒を受ける時はシナイ山で四十日断食し、エリヤは逃亡して四十日四十夜、荒れ野を歩き続けてホレブ山に着きました。 イエス様は公生涯をはじめる前に、神の霊によって荒れ野へと導かれました。つまり悪魔の誘惑を受けたのは、父なる神の御心でした。それは悪魔の誘惑を退けることによって、私たちにイエスさまを主と信じて生きるとはどういうことかを示して下さったのです。悪魔の誘惑はイエスさまが受けた誘惑であると同時に、私たちが向き合う誘惑でもあるのです。イエスさまが誘惑に勝ってくださったことによって、信仰者としての私たちが誘惑と戦う知恵を教えて下さったのです。
《祈り》神さま、あなたは四十日という苦難と試練を覚える時を与えてくださいました。今年のレントは4月19日までです。
牧師 和田一郎
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