フェイクニュース

「私たちは淫らな行いによって生まれたのではありません。私たちにはただひとりの父がいます。それは神です。」 (ヨハネによる福音書8章41節)
 2020年に「トイレットペーパーの生産の多くは中国なので、新型コロナの影響で輸入が止まって在庫が無くなる」というフェイクニュースがありました。マスメディアが、この情報は誤りであると注意喚起をしたものの、一部のスーパーの棚が空になっている映像が映し出されると人々の不安を駆り立て、結局トイレットペーパー不足の混乱が2カ月ほど続いたのです。フェイクニュースが一部にあることで、世の中の情報全般に対する信頼が失われてしまいました。 イエスさまに対して、ユダヤ人たちは「私たちは淫らな行いによって生まれたのではありません」と言いました。我々は父親がはっきりしないような者ではないということです。当時イエスさまの出生について、ナザレに駐屯していたローマ兵とマリアの間に生まれた私生児だという噂がありました。つまりイエスさまを陥れるためのフェイクニュースが出回っていたのです。マリアは正式にヨセフと結婚する前に聖霊によって身ごもったのでそのような噂になったのでしょう。マリアが誰かと姦淫したことによって生まれたかのような悪意ある中傷でした。ですからユダヤ人たちは、「我々はあなたのように姦淫によって生まれた、父親がはっきりしない者とは違う」と、フェイクニュースをうのみにして、イエスさまに侮辱した言葉を投げつけたのです。なぜ、ユダヤ人たちはその噂をうのみにしたのでしょうか。ユダヤ人指導者たちにとって自分達の権威を脅かすイエスさまが「神の子」であるというのは不都合なことでした。ですから、イエスさまへの悪い噂は都合がよかったのです。フェイクニュースの真相は、「真実」よりも「信じたい」情報を信じようとする人間の心理にあります。真実を追求するより、信じたい話だけに耳を傾けてしまうのです。今の時代も「ポスト真実の時代が到来した」と言われますが、新約聖書の時代から真実よりも、フェイクニュースの方があっという間に拡散してしまうという、人間の弱さがあったのです。
《祈り》主なる神よ、あなたはいついかなる時も真実な方です。福音は真実な良い知らせです。偽りを言う者を遠ざけてください。ただ真実を求め、イエス・キリストの真理の中で生きることができますように。
牧師 和田一郎
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