野鴨たれ!

「思慮なき者の背きは自らを殺し 愚かな者の安らぎは自らを滅ぼす。」 (箴言1章32節)
 デンマークのジーランド島という自然豊かなところに、毎年野生の鴨たちが翔んで来るそうです。鴨たちが約7日間かけて飛んだ距離は、なんと1万200キロです。その間、鴨たちは一度も降りていません。寝ていません。食べていません。ただただ飛び続けてジーランドの湖に来たわけです。ある時ジーランドにいた優しい老人は野生の鴨たちに、毎日、おいしい餌を与えました。渡り鳥は一つの湖に住み着くことはしません。 ところが、その鴨たちは考え始めました。「何も大変な苦労をして、次の湖へ翔び立つことはないじゃないか」と。そして、鴨たちはジーランドに住み着くわけです。ところが、餌をくれた老人が亡くなり、鴨たちは餌を求めて翔び立とうとしますが、あの力強い野生の羽ばたきができなくなっていたのです。ある日、山で溶けた雪が激流となって湖へ流れ込んできましたが、醜く太ってしまった鴨たちはその激流に押し流されてしまいました。 それが哲学者キェルケゴールの「野鴨の哲学」という寓話です。彼は「安楽こそが最大の悪の根源だ」と言うのです。つまり、「これくらいでいいじゃないか」とか、「こんなもんじゃないか」と思い始めたときが衰退の始まりです。  この箴言が語る「安らぎ」とは、神に信頼して憩うことではなく、悔い改めも問いも失った自己満足です。野鴨が飛ぶための筋力を失ったように、人もまた、神の呼びかけに応答する歩みをやめると、内なる緊張と霊的な筋力を失っていきます。信仰とは、自分勝手な安楽に留まるのではなく、御言葉に導かれて進み続ける生き方です。
《祈り》主よ、この私の「楽な場所にとどまろう」とする思いを砕き、御言葉に促されて飛ぶ勇気をお与えください。試練の中でも、あなたに信頼して歩み続ける聖霊の力を与えてださい。
牧師 和田一郎
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