「元気を出しなさい」 その時パウロは考えた⑪

全12回 月曜-火曜
「今、あなたがたに勧めます。元気を出しなさい。船は失うが、皆さんのうち誰一人として命を失う者はないのです。」 (使徒言行録27章22節)
 「元気を出しなさい」それはパウロの力強い言葉でした。 パウロは逮捕され囚人としてローマへ向かう航海の途中、激しい暴風に巻き込まれました。船は揺れ、積み荷を投げ捨て、誰もが「もう助からない」と感じていました。そのような極限状況で、囚人であるパウロが船の中央に立ち上がり「元気を出しなさい」と告げます。不思議な言葉です。自由を奪われた身で、しかも船を動かす権限もないパウロが、なぜ人々を励ますことができたのでしょうか。 それは、彼の拠り所が状況ではなく「神の約束」にあったからです。パウロは語ります。「神が私と共におられる。乗っている者は誰一人失われない」。彼の信仰は、乗組員の命を飲み込もうとする嵐の中で、静かな灯のように人々の心を照らしました。 パウロは特別だから励ませたのではありません。彼は恐れない人ではなく、神に信頼して立ち続けた人でした。彼の内側にあったのは「自分がどうなるか」ではなく、「神が共におられるなら大丈夫だ」という確信です。だからこそ、囚人という弱い立場でも、人々の支えとなり、嵐の船を導く声となれたのです。 人生にも嵐があります。病、喪失、失敗、人間関係の行き詰まり・・・。そんなとき、私たちは自分の弱さを責め、励ますどころか沈んでしまう。しかし、嵐の中のパウロは語ります。「弱いからこそ、神の力が働く」と。私たちも立派でなくていいのです。囚人のパウロが希望を語ったように、どんな立場でも、神の約束に支えられて生きるなら、誰かに光を届ける人になれます。「元気を出しなさい」という言葉は、今日、私たちにも向けられています。神は共におられ、失われる者は一人もいません。 その時パウロは考えた:「自分でなく神の力を信頼しよう!それが励ましの言葉となる。」
《祈り》神さま、私たちの人生にも思いがけない嵐がやってきます。「主が共におられるから大丈夫だ」と、あなたにより頼む信仰を与えてください。私たちを励ましの器として、誰かの心に小さな光を灯す者とならせてください。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/