家族のかたちを守りたい

「私のこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。雨が降り、川が溢れ、風が吹いてその家を襲っても、倒れなかった。岩を土台としていたからである。私のこれらの言葉を聞いても行わない者は皆、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に似ている。雨が降り、川が溢れ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れて、その倒れ方がひどかった。」 (マタイによる福音書7章24-27節)
 1977年に放映されたテレビドラマ『岸辺のアルバム』(脚本 山田太一)は、テレビドラマ史に残る名作と言われ、今年も舞台化されました。ドラマの主役は多摩川沿いの住宅地に住む、一見すると理想的な家族です。しかし物語が進むにつれ、家族それぞれが人に言えない秘密や傷を抱えていることが明らかになります。妻の不倫、有名大学出の父の会社の破綻、娘の性の傷、大学受験の息子の葛藤。家族は崩壊寸前まで追い込まれます。 そして物語の終盤、台風による増水で多摩川が氾濫し、一家が住んでいた家は濁流に飲み込まれてしまいます。一家で「家族写真」の詰まったアルバムを持ち出すと家は流されました。家は失いましたが家族は残りました。翌日、避難所から出て河川敷を歩く家族ひとり一人の姿に「家族のかたちを守りたい」という思いがあったように感じました。 イエスさまは「岩の上に建てられた家」のたとえを語られました。雨が降り、川があふれ、風が吹いても倒れない家です。しかし、それは単に頑丈な建物の話ではありません。人生には誰しも嵐が訪れます。苦難や失敗、後悔もあるでしょう。そこで、自分が大切にしてきたものが揺さぶられる時があります。「家族が大切だ」とはいっても、その家族も完全ではありません。しかし神さまの御言葉を土台として生きる時、たとえ失うものがあったとしても、本当に大切なものは残されるのです。その本当に大切なものが、きっと家族を守ることでしょう。
《祈り》恵み深い神さま、人生には、思いがけない嵐が訪れます。雨が降り、川があふれる時にも、あなたの言葉に堅く立ち続けることができますように。嵐の後、家や財産や名誉は流されても「“神の家族"のかたちが守られました」と感謝できますように。
牧師 和田一郎
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