さっちゃんの魔法の手
「その中で最も大いなるものは、愛である。」(1コリント13:13)
『さっちゃんのまほうの手』という本があります。
ままごと遊びが盛んなすみれ組で、いつもは決まった子がお母さん役になるのに、その日、「あたしがなる!」と言ったのはさっちゃんでした。
それを聞いたまりちゃんは怒って「さっちゃんは、お母さんになれないよ!だって、手のないお母さんなんてへんだもん!」と言ったのです。明くんも「おれ、お父さん、やーめた」と言い出しました。
さっちゃんは「みんな、大っ嫌い」と出て行ってしまったのです。実はさっちゃんの右の手には指がありませんでした。お母さんはさっちゃんを抱きしめ真剣な声で話したのです。
「お母さんのお腹の中で小さな命の粒だったさっちゃん。体がだんだん出来ていく時、お腹の中で怪我をしてしまって指だけできなかったの」。
さっちゃんは訊きました。「小学生になったら、さっちゃんの指、みんなみたいにはえてくる?」
お母さんは「小学生になってもずっと今のままよ。でも、これが幸子の大事な大事な手なんだから。お母さんの大好きな幸子の可愛い可愛い手なんだから」と言いました。
お父さんも手を繋ぎながら「こうして手を繋いでいると不思議な力が幸子の手からやってきてお父さんの体一杯になるんだ。幸子の手は魔法の手だね」と。
翌日、明くんが休んださっちゃんを訪ね「これ、あげる」とハートのチョコを置いていきました。恵子先生も来てくれました。
数日後「さっちゃん、すべるなよ」という友だちの声が聞こえます。そしてジャングルジムの上から「へいき!だって、さっちゃんの手はまほうの手だもん!」というさっちゃんの元気な声が響きました。
誰もが神さまからかけがえのない個性を与えられています。私たちはあるがままに受け入れられる神さまの愛の中で全ての個性が力となるのです。あなたは愛されています!
いってらっしゃい。
牧師 松本雅弘