お父さんの悩み

「愛する者たち、神がこのようにわたしたちを愛されたのですから、わたしたちも互いに愛し合うべきです」(1ヨハネ4:11)

 お父さんには大きな悩みがありました。3歳のお姉ちゃんが妹をいじめるのです。
余りにも度が過ぎるので、「お姉ちゃんなのだから弱い者いじめをしてはいけません」と叱ると、しょんぼり頷きますが、5分も経たない内に妹いじめが始まったそうです。
父親は無力さに途方に暮れ、〈この子は悪い子になってしまったのだから仕方がない〉、つまり「悪い子」というレッテルを貼り自分を納得させました。
貼られたその子は大変だったでしょうが、貼った側の父親もそれに縛られることになりました。
ところがある日、ふと考えたそうです。妹が生まれるまでは一人で母親を独占できた。膝もお乳も全て自分のもの。
知り合いのおばさんに会えば、「かわいいお嬢ちゃんね」と頭を撫でてもらえた。でも下の子が生まれた途端、みんな妹に取られてしまったのです。そうした事の連続でした。
父親はそこまで考え来て、何だか娘が急に不憫に思えたそうです。しかも、「悪い子」のレッテルを貼り、半ば諦めてしまっていましたから。
父親は考えたそうです。そして、その子に向かって「おいで、抱っこしてあげよう」と言うと、最初は戸惑っていたのですが、恥ずかしそうに父親の膝の上にやって来ました。
お母さんの膝とちがう、毛むくじゃらの膝でしたが、〈ないよりましだ〉と思ったのでしょう。そして父親はその子を叱らず、優しく語りかけ、そして、その子の話を聞いてあげたたそうです。
その結果、あれほどイライラさせた、いじめがパッタリと止んだ。奇跡のようだった、と父親は証ししていました。
きっとその子は愛を確かめたかったのでしょう。そしてこれは子どもに限らず誰もが持っている根本的なニーズでしょう。だからこそ愛を伝え合う努力が必要なのですね。

いってらっしゃい。

牧師 松本雅弘

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