人は傷ついてこそ、優しくなれる

「光は闇の中で輝いている。」 (ヨハネによる福音書1章5節)
 2013年の夏、大学のプログラムで行ったアメリカ・シアトルで、教会のホームレス支援を手伝ったことがある。誘いを受けた時は躊躇した。ホームレスの人と関わることが「自分の中にある弱さ」を見つめることのような気がして避けたい思いがあった。それでも参加することにして行くと大都会の路地裏で配給される食事を待つ人々の列。聞くと、皆それぞれいろいろな背景があって、依存症になったり犯罪に走ったりしていた人もいるらしい。自分だって何かのきっかけで、その列に並ぶ人になるかも知れない。そんなことを考えることは怖いことだ。 北九州でホームレス支援の活動をしている牧師の奥田知志さんは「絆という言葉には『傷』が含まれている」と言う。「絆」は2011年東日本大震災の年には流行語になったほど使われた言葉だが、人と人が繋がることは嬉しいことばかりではない、人と会えば傷つくこともある。それでも人と出会うこと以外に、人生の喜びを深める方法はないと言う。 ホームレス支援というのは、人生の中で傷を負った人への支援だ。きっと輝かしい過去もあったかもしれない。でも今はなんらかの傷を抱えながら生きている。その傷は彼らの自業自得などではなくて、社会の傷でもあるのです。 キリストの光は闇の中で輝いている。だから本当の光を闇の中で見いだすということがあるはずだ。闇に住み、闇を見つめていないと分からない光がある。だから人は傷ついてこそ、優しくもなれるし、強くもなれると信じている。イエスさまが闇の中で、強く優しく輝いていたように。
《祈り》私が輝かしい活躍をしている時、何でもできると思えましたが、見えていないものがありました。闇の中からでしか見えないものがありました。暗闇の中で輝いている主よ。私の心の中に、あなたの光を照らしてください。
牧師 和田一郎
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