あんこを作る理由

「イエスが深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ、『私は望む。清くなれ』と言われると、たちまち規定の病は去り、その人は清くなった。」 (マルコによる福音書1章41-42節)
 映画『あん』(2015年 監督:河瀨直美 出演:樹木希林)はハンセン病患者の実話をもとにした作品です。どら焼き屋で働く雇われ店長は、ただ仕入れた餡を使って焼き、売るだけの日々を送っていました。心は満たされず、仕事への情熱もなく、ただ惰性で働いていたのです。そこに現れた老女が徳江(とくえ)さんでした。彼女は「時給は安くてもいいから働かせてほしい」と願い働き始めます。やがて彼女は小豆を丹念に煮て餡を作り、心のこもった粒あんが評判となり店は行列のできる繁盛店へと変わりました。 ところが、ある日店のオーナーが指が曲がっている彼女のことで「ハンセン病の人が作っている」という噂が広まって客足が減っているから、辞めさせなさいと迫ります。店長は徳江さんを必死に守ろうとしましたが、徳江さんは何かを察して店に来なくなりました。店長は自分が守りきれなかったことを悔い「世間よりもひどいのは俺だ」と自らを責めます。やがて彼女がハンセン病施設で亡くなった知らせが届きました。残された録音テープに、徳江さんの静かな声がありました。「私たちは、この世を見るために、聞くために生まれてきた。何かになれなくても、生きる意味はあるのよ。」それは、誰もが生きる意味を持ち、価値ある存在なのだというメッセージでした。その言葉を聞いた店長は、しばらくして自分で小豆を煮て餡を作り、再びどら焼きを売り始めます。同じ仕事ですが、店長は「意味」を見つけたのです。 聖書には、皮膚病の人にイエスさまが「私は望む。清くなれ」と言われた場面があります。イエスは人々の偏見や隔てを超えて、深い憐れみをもって皮膚病の人に触れ、癒されました。それは皮膚病の癒し以上に、神への信仰の道を妨げるものから解放する御業でした。私たちを清くすることがおできになるのは、イエス・キリストの十字架の血です。十字架の血によって清めてくださったのです。
《祈り》主よ、私たちは心の目が曇り、清いものを汚れたものとし、あなたが造られた大切な人を退けてしまう罪を犯してきました。世間の噂や偏見に流され、真実を見ることを怠ってきました。その弱さと罪を告白いたします。どうか私たちの心を清めてください。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/