創意工夫と湘南ゴールド

「五タラントン受け取った者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『ご主人様、五タラントンをお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』主人は言った。『よくやった。良い忠実な僕だ。お前は僅かなものに忠実だったから、多くのものを任せよう。主人の祝宴に入りなさい。』」 (マタイによる福音書25章20-21節)
 かつて神奈川県西部は、「小田原みかん」で大いに潤っていました。しかし時代の流れとともに、消費者のみかん離れや他県産との競争にさらされ、生産量は大きく減少していったそうです。一方、この地域には「幻のオレンジ」と呼ばれるゴールデンオレンジがありました。香り高く、爽やかな酸味と甘みが忘れられない味。しかし、小さくて食べにくく、見た目も不揃いで、生産量も少ない。まさに「賜物はあるが、そのままでは十分に生かされていないオレンジ」でした。 そこで生産者は「みかんの食べやすさ」と「ゴールデンオレンジの味と香り」それぞれの長所を掛け合わせ、創意工夫した結果が「湘南ゴールド」でした。それは、無から何かを生み出した物語ではありません。 すでに与えられていたものを丁寧に見つめ、その価値を信じ、工夫し、忍耐をもって育て上げた物語です。
聖書の中で、イエスさまは「タラントンのたとえ」を語られました。主人から預かったものを恐れて地に埋めた僕(しもべ)と、それを用いて増やした僕。問われたのは能力の大小ではなく、「託されたものをどう生かしたか」でした。 私たち一人ひとりにも、神さまから託された賜物があります。目立たないもの、不格好に見えるものもあるでしょう。しかし、それらは決して無価値ではありません。むしろ、創意工夫と祈りをもって向き合うとき、新しい実りをもたらす可能性を秘めています。神さまは私たちにも、「すでに与えている。それを生かしなさい」と静かに語りかけておられるのではないでしょうか。
《祈り》神さま、あなたは「預けたものをどう生かしているか」と問われます。どうか、恐れて、与えられた物を地に埋めてしまう私たちの頑なな心を解き放ってください。いつの日か、「よくやった。良い忠実な僕だ」と語っていただけるように力づけてください。
牧師 和田一郎
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