個として生きる
「『ご主人様、五タラントンをお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』主人は言った。『よくやった。良い忠実な僕だ。お前は僅かなものに忠実だったから、多くのものを任せよう。主人の祝宴に入りなさい。』」 (マタイによる福音書25章20-21節)
社会の中で毅然として「個」として生きる、そんな魅力に『牧野富太郎―なぜ花は匂うのか』を読んで圧倒されました。「小学校中退、独力で植物学に取り組む」という経歴を見て「この人はご苦労されたんだなぁ」と思ったのですが、実は実家には財力もあり知力も進学には問題なかった、進もうと思えば学校に行けた、だが行かない。自叙伝に「私のような天才は、私の死とともに消滅してふたたび同じ型の人を得る事は恐らくできない・・・」と言い放つ自信。そんな「天才の自負」のようなものが、彼を「個」として生かしてきたようです。 地位も名誉もいらぬ、ただ植物だけを学問したいのだ、という圧倒的な情熱の持ち主。彼は社会と断絶していたわけではなく、人と関わり、助けを受け、時に人を動かしながらも、中心には常に「自分が何のために生きるのか」という一点が据えられていたようです。それを永遠の少年のように追い続けて94歳まで生き抜いた。明治という変革の時代は、このような破格な人物を生んだのですね。 牧野の「天才の自負」は、聖書的に言えば「高慢」と紙一重です。しかし同時に、自分に託された賜物を疑わず、恐れずに用いようとする大胆さでもありました。イエスさまはタラントンの話の中で、与えられた賜物を土に埋めた僕(しもべ)を厳しく戒めました。問われているのは、比較ではなく「あなたは与えられたものをどう生きたか」です。 このたとえ話は、才能の大小ではなく「忠実さ」です。五タラントンも一タラントンも、神の前では預けられた賜物にすぎません。恐れて土に埋めるのではなく、賜物を増やした者に「よくやった」との声がかかります。他人との比較においては「高慢」「破格」と見られても神の前では「忠実」と見なされる。そしてその先に、主の祝宴への招きがあるのです。
《祈り》神さま、私は心のどこかで、預かった賜物を他人と比べていました。しかし、あなたは個々に、別々の賜物を託してくださったのです。どうか、あなたの信頼を裏切ることのないように、与えられたものを忠実に用いる勇気をお与えください。
牧師 和田一郎
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発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/
社会の中で毅然として「個」として生きる、そんな魅力に『牧野富太郎―なぜ花は匂うのか』を読んで圧倒されました。「小学校中退、独力で植物学に取り組む」という経歴を見て「この人はご苦労されたんだなぁ」と思ったのですが、実は実家には財力もあり知力も進学には問題なかった、進もうと思えば学校に行けた、だが行かない。自叙伝に「私のような天才は、私の死とともに消滅してふたたび同じ型の人を得る事は恐らくできない・・・」と言い放つ自信。そんな「天才の自負」のようなものが、彼を「個」として生かしてきたようです。 地位も名誉もいらぬ、ただ植物だけを学問したいのだ、という圧倒的な情熱の持ち主。彼は社会と断絶していたわけではなく、人と関わり、助けを受け、時に人を動かしながらも、中心には常に「自分が何のために生きるのか」という一点が据えられていたようです。それを永遠の少年のように追い続けて94歳まで生き抜いた。明治という変革の時代は、このような破格な人物を生んだのですね。 牧野の「天才の自負」は、聖書的に言えば「高慢」と紙一重です。しかし同時に、自分に託された賜物を疑わず、恐れずに用いようとする大胆さでもありました。イエスさまはタラントンの話の中で、与えられた賜物を土に埋めた僕(しもべ)を厳しく戒めました。問われているのは、比較ではなく「あなたは与えられたものをどう生きたか」です。 このたとえ話は、才能の大小ではなく「忠実さ」です。五タラントンも一タラントンも、神の前では預けられた賜物にすぎません。恐れて土に埋めるのではなく、賜物を増やした者に「よくやった」との声がかかります。他人との比較においては「高慢」「破格」と見られても神の前では「忠実」と見なされる。そしてその先に、主の祝宴への招きがあるのです。
《祈り》神さま、私は心のどこかで、預かった賜物を他人と比べていました。しかし、あなたは個々に、別々の賜物を託してくださったのです。どうか、あなたの信頼を裏切ることのないように、与えられたものを忠実に用いる勇気をお与えください。
牧師 和田一郎
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