マイナスがプラスに変わる
「ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた。」(マタイ2:14−15)
幼い頃のイエスさまが難民として外国暮らしをされました。
ヨセフやマリアは人口調査のためにベツレヘムに来ただけで、エジプトに行くとは思ってもいませんでした。
ですから着の身着のままだったと思います。エジプトにもユダヤ人集落があったようですが、だからと言って楽な暮らしではなかったことでしょう。
つまり聖書は、人間の成長にとって大切な幼少期を、イエスさまは恵まれた環境で過ごされたわけではなかったことを伝えているのです。
ところで、子どもの頃、友だちの家庭と自分の家庭の違いに気づいたという経験はありませんか?
エジプト時代のイエスさまも自分の家が他の家よりも貧しいことを肌で感じたことだと思います。両親が苦労している姿や、自分と同じような外国から来た人たちが苦しい中で生活していたことも、しっかりと見、魂に刻んで成長して行かれたことだと思います。
この後メシアとして活動されるイエスさまですが、その言動を見る時に、信じられないほどの温かさや優しさで貧しい人、「罪人」、病人たちと接しておられます。
彼らの痛みや苦しみをよく分かり、信じられないような深い愛情を持って関わる姿が聖書のいたるところに出てきます。
何でそのように生きることができたのでしょうか? それは、エジプトでの子どもの時の苦労があったからですね。
必死になって育ててくれたお父さんとお母さんの姿を見ながら成長したからです。
また、隣近所の貧しい人々と一緒に暮らしたというエジプトでの生きた経験があったからこそ、自然に、弱い人、外国の人、病気の人、罪を犯してしまった人々に、愛の心が自然に溢れるように流れ出て行ったのです。
マイナスがプラスに変えられる! 神さまにあってそれが可能なのです。
いってらっしゃい。
牧師 松本雅弘