損をしたくないだけの大人にならない

「あなたを見捨て、あなたに背を向けて帰るなど そんなひどいことをさせないでください。あなたが行かれる所に私は行き あなたがとどまる所に私はとどまります。あなたの民は私の民 あなたの神は私の神です。」 (ルツ記1章16節)
エリメレク家の家族は、ユダの地に飢饉があったのでモアブに移り住み、そこで10年間暮らしました。その間にエリメレクが妻のナオミを残して死に、二人の息子も死んでしまい、息子たちの妻ルツとオルパが残りました。残された女性三人はユダの地の飢饉が去ったことを知り、ユダに帰国しようとしました。しかし、道の途中で、ナオミは「私と一緒に来るよりは、モアブで平和に暮らすように」と言いました。二人とも「いいえ。私たちは一緒に帰ります」と言いましたが、ナオミが強く勧めるので、オルパは泣きながら戻りました。しかし、ルツは諦めませんでした。「あなたを見捨て、あなたに背を向けて帰るなど そんなひどいことをさせないでください。」と。ナオミの勧めを受け入れてモアブに戻ったオルパの方が常識的だったのかも知れません。まだ若いですし生まれ育った国の方が暮らしやすいのに、義母のためにわざわざ異国で暮らすなんて割に合わないのではないかと。しかし、ルツはお世話になってきたナオミを一人で帰らせることができなかったのです。年老いた義母を一人で生活させることなどできなかったのです。それは自分の大切にしてきた何かを守ることでもありました。ナオミを大切にすることと、自分を大切にすることが重なっていたのです。 コロナ後の今を生きる私たちは、大切なものを遠ざけて生きることに慣れてしまったように思います。人と向き合わなくていい環境に慣れてしまいました。自分が大切にしているものよりも、いつのまにか常識を探しています。「ランキング」、「口コミ」、「高評価」。顔の見えない誰かの評価を気にして、知らないだれかが決めたルールで生きています。 あなたが行かれる所、あなたがとどまる所、あなたの民、あなたの神、あなたが大切にしているものを大切にしたい。ルツ記はそのような損得を考えない真っすぐで、強く、優しい女性の物語です。
《祈り》神さま、ルツはナオミを通して神様と出会いました。誰かを大切にしたい思いを通して信仰を与えられる「証し」を見ました。自己中心が当たり前になりつつある時代ですが、損をしたくないと考えるだけの大人にはなりたくありません。神を愛し隣人を自分のように愛する心を支えてください。
牧師 和田一郎