シンドラーのタラントン

「一タラントン受け取った者も進み出て言った。『ご主人様、あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集める厳しい方だと知っていましたので、恐ろしくなり、出て行って、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。』」 (マタイによる福音書25章24-25節)
 「タレント」という英語の言葉は「才能」とか「働き」「賜物」という意味があり「タラントンのたとえ」の中にあるギリシア語に由来した言葉です。 ある主人は、一人のしもべに5タラントン、もう一人のしもべに2タラントン、さらにもう一人に1タラントンを預けました。5タラントン預かった者はさらに5タラントン、2タラントンのしもべも、さらに2タラントン増やしました。自分に大金を預けてくれたので、その愛と信頼に応えようと忠実に働いたのです。ところが1タラントン預かったしもべは、主人を信頼するどころか恐れをなして、1タラントンを地面に埋めて隠してしまいます。主人はこのしもべを叱ります。主人の信頼に応えずに与えられたタラントン(賜物)を少しも活用しなかったことを怒ったのです。 このたとえ話は、神さまから預かった個性や能力というタラントンを人生の中でどのように用いるのかを問いかけています。プロセスも含めて、限られた人生の時間と能力を何に用いるのか、神さまの信頼に応える用い方が問われるのです。 映画『シンドラーのリスト』の主人公のオスカー・シンドラーはユダヤ人が強制収容所に送られるのを防ぐために工場を経営し続けました。ヨーロッパのユダヤ人約600万人に対する虐殺が終わりユダヤ人が解放された時、命を救ってくれたシンドラーに感謝を伝えるために集まった1100人の従業員を前に、シンドラーは深く後悔の言葉を語るのです。「もっと金があったら、自分の車や宝石を売り払っていたなら、もっと多くの命を救えたはずだ。そうだろう?私は何をしていたのだ」と。人の命ほど大切なものは他にないと知りつつ、もっと与えられるはずだったと泣き崩れるシンドラー。自分のタラントンを使い果たしても払いきれないほど戦争の代償は大きかったのです。
《祈り》神さま、この私に与えてくださったタラントンを有難うございます。誰もがもっているタラントン。神さま、あなたの為に用いることができますように。
牧師 和田一郎
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/