豚に真珠

「真珠を豚に投げてはならない。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたにかみついてくるだろう。」(新共同訳聖書) (マタイによる福音書7章6節)
 「豚に真珠」という言葉がありますが、豚は雑食性で草や肉など何でも食べるそうです。本来おだやかな動物ですが神経質な生き物で、ストレスがたまると攻撃的になるのです。「豚に真珠」ということわざは聖書に由来しています。一般的に「値打ちがわからない者には、どんなに価値のあるものを与えても意味がない、無駄である」という意味で使われますが、実は聖書では「人を裁いてはならない」という教えの中で「豚に真珠」と語られていて、豚の習性を知る当時の庶民に分かりやすい例えであったのでしょう。豚は値打ちが分からないのではなく、豚は雑食なので真珠も口に入れてしまいますが消化することができないのです。ストレスがたまって攻撃的になって噛みついてきます。豚が真珠を消化できないように、人は誰でも裁かれたり、非難されたりする事を消化して自分のものにすることができません。たとえ裁くという行為に、しっかりした根拠があったとしても、人を裁くことは良くないことです。真珠は「高価で美しい」もの、つまり「立派で正しい正論」の象徴です。正論で裁くことができても、それを戒めているのです。聖書には「豚は向き直ってかみついて来るだろう」とありますが、裁くことは相手との関係を壊して「争い」というしこりを残してしまうのです。「隣人を愛する」こととは逆の事態を起こしてしまいます。イエスさまは人を裁いている人に対して「偽善者よ」と厳しいことを言われました。なぜなら、誰にでも罪があるからです。豚はもともと人に嚙みついたりする動物ではありません。イエスさまは、そうさせている要因に目を向けさせようと語られたのです。
《祈り》主よ、私を解放してください。私は正しいことをしたいと願っています。あなたの御心に従った正しさを熱心に求めています。ところがその熱心に求める思いゆえに、人を裁いているようなのです。どうぞ憐れんでください。
牧師 和田一郎
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