罪の告白

「私たちが自分の罪を告白するなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、あらゆる不正から清めてくださいます。」 (ヨハネの手紙一1章9節)
 わたしは小さい時に父親の車に小さな傷をつけてしまいました。それをずっと言えなくて、いつか怒られるんじゃないか?と不安でした。わたしたちにはそんな、人には言えない傷があると思います。そして、わたしたちの心の良心が働くと、それは「後悔」となって心に残ることになります。 旧約聖書に出てくるヨセフには10人の兄がいました。しかし、ヨセフは知恵と賜物があったので父から特別扱いをされ、それが災いして10人の兄たちから嫌われました。ある日、兄たちは通りかかった商人に銀20枚でヨセフを売り飛ばしてしまったのです。父のヤコブには野獣に襲われて死んだと嘘をつきました。 それから長い年月が過ぎて、兄たちが住んでいる地方がひどい飢饉に襲われました。そこで大国エジプトに食料を買い求めに行くことにしました。外国人の彼らに食料を売ってくれるかどうか分かりませんでしたが、そうするしかありませんでした。エジプトに着くと、彼らは大臣の前に通されます。「食べ物に困っています、どうか食料を売ってください」。ところがそのエジプトの大臣は、むかし商人に売り飛ばした弟のヨセフでした。ヨセフは特別な知恵と賜物が用いられてエジプトで大臣になっていたのです。ヨセフは自分を売り飛ばした10人の兄たちを恨んだり仕返しをしたりはしませんでした。それどころか兄弟全員と父親も、一族全員を飢饉で困っている故郷から連れて来てエジプトで豊かに暮らすようにしたのです。10人の兄たちはエジプトで平穏に暮らしているように見えましたが、何かが十分ではありませんでした。それはヨセフに対する罪を告白していないことです。赦されたという確信をもっていない兄たちには、本当の平安がありませんでした。 「罪を持って、一人でいる人は、どうしようもなく、一人である。」(ボンヘッファー) 兄たちは父ヤコブが召されてから、ヨセフに罪の告白をして赦しを求めました。ヨセフはそれを受け入れ、兄たちを慰め、本当の平安が訪れたのです。 人には言えない罪の告白も、神さまの御前であきらかにして頂きましょう。
《祈り》神さま、私には誰にも明らかにしていない罪があります。誰にでもある、仕方のない罪です。黙っていれば、誰にも咎められることはありません。しかし主よ、あなたにだけは知って頂きたいのです。一人で抱えていると孤独です。私の罪を聞いてください。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/