傷つくことなしに正義はおこなえない

「一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してそれを裂き、弟子たちに与えて言われた。「取って食べなさい。これは私の体である。」 (マタイによる福音書26章26節)
 子ども界に圧倒的な知名度を誇るのがアンパンマンです。 原作者は、やなせたかしさんです。今の正式なタイトルは「それいけ!アンパンマン」ですが、最初の絵本は、ひらがなで書かれた「あんぱんまん」でした。アンパンマンはお腹がすいている子がいれば、自分の頭をちぎって食べさせてあげます。たくさん食べさせすぎると元気がなくなっちゃう。それでも自分の頭をちぎって食べさせてくれる。そんな自分の身を削って誰かのために仕えるヒーローです。やなせさんは絵本を描き上げた時「これは売れないだろうな」と思いました。編集部の人にも評判が悪くて「やなせさん、こんな本はこの一冊にしてくださいね。」と言われ、出版すると評論家や教育関係者からも不評でした。 ところが数年して、あちこちの図書館で「『あんぱんまん』はいつも貸し出しになりますよ」となにやら子どもが何度も繰り返し読みたがると評判になり、8年後にハードカバーで出版すると大人気。ついにテレビで放映される話が来ました。しかしTV局側が「自分の顔をちぎって食べさせる」というのは気持ち悪いので修正を求めたのですが、やなせさんは譲らなかった。やなせさんは、戦争中に「飢えることのつらさ」を体験していたのです。それで 困っている人に食べ物を与えるヒーローを生み出したそうです。自分の力が出なくなるのが分かっていても、目の前に困った人がいたら助けるヒーローです。それが描きたくてアンパンマンが生まれたのですから譲れなかったのですね。 イエスさまは最後の晩餐の席でパンを取りました。そのパンを裂き「これは私の体である」と言って弟子たちに分け与えます。そのパンはキリストの肉を意味していました。翌日、イエスさまは私たちの罪をすべて背負って、その肉体に釘をうたれ血を流して十字架で死んで下さいました。それによって私たちの罪は赦され、救いが与えられたのです。私たちは礼拝の聖餐式において「取って食べなさい。これは私の体である。」という言葉によって最後の晩餐の情景を思い起こし、パンと杯にあずかることによって十字架による救いと恵みを味わうのです。
《祈り》神さま、私は自分のことを守ることばかり優先します。しかし、そんな私のためにイエスさまはご自分の肉と血をささげてくださいました。そのような犠牲はとても私には真似できません。ですから、どうかイエスさまのされた御業にあずからせてください。
牧師 和田一郎
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