寄留者を愛しなさい
「あなたがたのもとにとどまっている寄留者は、あなたがたにとってはイスラエル人と同じである。彼を自分のように愛しなさい。あなたがたもエジプトの地では寄留者であった。私は主、あなたがたの神である。」 (レビ記19章34節)
新宿中村屋といえば、元祖クリームパンをはじめ、印度カリー、中華まん、ボルシチなど日本の食文化に影響を与えたことで知られています。インドや中国、ロシアの伝統料理を日本人の口に合うように工夫して評判となりました。そこには創業者、相馬愛蔵の考えが影響していたようです。 相馬愛蔵(1870-1929年)は長野県安曇野に生まれ、現在の早稲田大学に進みました。大学生活を振り返った回顧録があります。「当時、私に最も大きな影響を与へたのは、学校よりも教会であった。私は早稲田に入ると、その17歳の夏頃から友人に誘はれて牛込市ヶ谷の牛込教会へ行くやうになった。13歳の春に始まった私の寄宿舎、下宿屋生活はまことに殺風景で、いま思へば私はこの間にかなり人間としての自分を枯らしたやうに思ふが、その反対に教会では潤い豊かな雰囲気に浸ることが出来た」とあります。 相馬はこの時期、植村正久、内村鑑三、山室軍平など、後にキリスト教会のリーダーとなっていく人物とも交流を交わしました。「福音」とは、ユダヤ人以外の寄留者、外国人もイエス・キリストへの信仰によって神の祝福を受けられる「良い知らせ」のことをいいます。ですから、キリスト教信仰において在留異国人を受け入れることは、信仰的な意味において大切なことなのです。 相馬愛蔵は、インド独立運動で亡命してきたボースや、ロシアの盲詩人エロシェンコが政府から強制退去を命じられると危険を承知で彼らをかくまいました。外国人技師、職人を雇い、新宿中村屋は異国人が集まる場所ともなっていきます。“危険"や“負担"が「純印度式カリー」や「ボルシチ」がヒット商品になる成功のきっかけとなったのです。 レビ記19章は、イスラエル人がエジプトで寄留者として奴隷扱いされていたことを思い起こさせます。人は自分の苦しかった経験を簡単に忘れてしまいますが、弱い立場や助けを必要とする人を、自分自身を愛するように愛することを教えています。
《祈り》神さま、私たちはかつて異邦人でした。割礼を受けたユダヤ人でなければ神の祝福を受け取る資格がないとされていたからです。しかし、イエスさまの十字架の御業によって、その隔てがなくなったのです。そのことを覚えて在留異国人を受け入れることができますように。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/
新宿中村屋といえば、元祖クリームパンをはじめ、印度カリー、中華まん、ボルシチなど日本の食文化に影響を与えたことで知られています。インドや中国、ロシアの伝統料理を日本人の口に合うように工夫して評判となりました。そこには創業者、相馬愛蔵の考えが影響していたようです。 相馬愛蔵(1870-1929年)は長野県安曇野に生まれ、現在の早稲田大学に進みました。大学生活を振り返った回顧録があります。「当時、私に最も大きな影響を与へたのは、学校よりも教会であった。私は早稲田に入ると、その17歳の夏頃から友人に誘はれて牛込市ヶ谷の牛込教会へ行くやうになった。13歳の春に始まった私の寄宿舎、下宿屋生活はまことに殺風景で、いま思へば私はこの間にかなり人間としての自分を枯らしたやうに思ふが、その反対に教会では潤い豊かな雰囲気に浸ることが出来た」とあります。 相馬はこの時期、植村正久、内村鑑三、山室軍平など、後にキリスト教会のリーダーとなっていく人物とも交流を交わしました。「福音」とは、ユダヤ人以外の寄留者、外国人もイエス・キリストへの信仰によって神の祝福を受けられる「良い知らせ」のことをいいます。ですから、キリスト教信仰において在留異国人を受け入れることは、信仰的な意味において大切なことなのです。 相馬愛蔵は、インド独立運動で亡命してきたボースや、ロシアの盲詩人エロシェンコが政府から強制退去を命じられると危険を承知で彼らをかくまいました。外国人技師、職人を雇い、新宿中村屋は異国人が集まる場所ともなっていきます。“危険"や“負担"が「純印度式カリー」や「ボルシチ」がヒット商品になる成功のきっかけとなったのです。 レビ記19章は、イスラエル人がエジプトで寄留者として奴隷扱いされていたことを思い起こさせます。人は自分の苦しかった経験を簡単に忘れてしまいますが、弱い立場や助けを必要とする人を、自分自身を愛するように愛することを教えています。
《祈り》神さま、私たちはかつて異邦人でした。割礼を受けたユダヤ人でなければ神の祝福を受け取る資格がないとされていたからです。しかし、イエスさまの十字架の御業によって、その隔てがなくなったのです。そのことを覚えて在留異国人を受け入れることができますように。
牧師 和田一郎
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