私の信仰告白

「マルタは言った。「はい、主よ、あなたが世に来られるはずの神の子、メシアであると私は信じています。」 （ヨハネによる福音書11章27節）
　私たちが主日共同の礼拝で告白している「使徒信条」は、紀元八世紀頃にできたとされていますが、その原型となった「古ローマ信条」は二世紀頃から洗礼志願者への質問として用いられていました。「使徒信条」は三つのことを「わたしは・・・信じます」という告白によって構成されます。父である神、イエス・キリスト、聖霊の三つを信じることを告白するのです。「使徒信条」は現在、ほとんどのプロテスタント教会の礼拝の中で告白されていますが、それは教派を超えた公同性があるからです。そして「使徒信条」を告白している教会は、正統なキリスト教会であると見ることができるのです。しかし、信仰告白は「共同体」として告白すると共に「わたし」の信仰を告白するものでもあります。 ジョン・ウェスレーは、信仰告白を研究し解説するだけではなく、信仰信条を自分のものとして、まさに告白することを生きようとしました。それはある出来事がきっかけでした。 ウェスレーが宣教のためにアメリカへ行く船に乗っている時、ドイツのモラビラ派の人たちに出会います。彼らのリーダーに霊的な助言を求めると、逆に彼から質問されました。「『兄弟、それでは初めに質問させてもらいます。あなたはイエス・キリストを知っていますか？』と尋ねた。私は少し間をおいて、『主がこの世界の救主であるということを知っています』と答えた。すると彼は、『確かにそうです。しかし主が《あなたを》救われたということを知っていますか』と尋ねた。・・・『はい、知っています』と答えたものの、それらが空しい言葉であると自分では判っていた。」（『わたしの使徒信条』藤本満著より） ウェスレーは信仰信条を神学的に理解していましたが、「あなたを」と問われて、その信仰信条が「わたし」のものとなっていないことに衝撃を受けたのです。 マルタは、自分たち兄妹と親しくしてくださるイエスさまを信頼して「神の子、メシアであると私は信じています」と力強く告白しました。それは病気で死んだ弟のラザロの復活を見て信じたのではありません。まだ弟が復活していない時に告白していたのです。 その時の状況が雨のときでも、晴れのときでも、信仰告白を私のものとして、まさに信仰告白を生きる生活でありたいのものです。
《祈り》神さま、私はいつも「使徒信条」を告白していますが、どこか形式的に口にしているところがありました。しかし、その言葉を噛みしめて力強く告白するとき、力が湧いてくることに気づきました。使徒信条は私の信仰告白です。
牧師　和田一郎
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