“まねぶ” ことから始めよう

「それから、たらいに水を汲んで弟子たちの足を洗い、腰に巻いた手拭いで拭き始められた。シモン・ペトロのところに来られると、ペトロは、『主よ、あなたが私の足を洗ってくださるのですか』と言った。」 (ヨハネによる福音書13章5-6節)
 「学ぶ」は古語で「まねぶ」と読むそうです。「まねぶ」とは「まねる」(模倣する)という意味です。物事を「まなぶ」ためには、まずは模倣が出発点になるということが昔から言われてきました。絵を描くにしろ、書を書くにしろ、スポーツにしろ、私たちは模範となる誰かがしているのを見て、それを真似ることから始めています。模範となるものを観察し、頭の中でなぞってみる、そして実際に自分の身体を使って繰り返していくのです。最初はモノマネでもいい。ただし良い模範となるものを真似るのです。徹底して真似していく先にいつしか「どこか違う」という違和感が生まれ、そこから模範を土台としたオリジナルな自分の形が生まれていくものです。  アップルの創始者スティーブ・ジョブズは、かつて米ゼロックス社がシリコンバレーに置いていた研究所に視察に出かけました。ゼロックス社はジョブズたちを警戒して、自社の技術をあまり見せないようにしていました。しかし、ジョブズはコンピュータの画面を美しく映し出すスクリーンの技術に注目し何度も押しかけて行きました。この技術をジョブズはアップルで実現してしまうのです。ジョブズは自伝の中で語っています。「人類がなし遂げてきた最高のものに触れ、それを自分の課題に取り込むということです。ピカソも、『優れた芸術家はまねる、偉大な芸術家は盗む』と言っています。我々は、偉大なアイデアをどん欲に盗んできました」(自伝『スティーブ・ジョブズ1』(Wアイザックソン)  私たちキリスト者の模範はイエス・キリストです。イエスさまは、最後の晩餐の席上で、突然たらいに水を汲んで弟子たちの足を洗い始めました。「わたしがあなたがたにしたように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」と教えました。これは単なる儀式ではなく、謙遜と愛の実践の模範です。互いに仕え合うことの重要性を示そうとされたのです。
《祈り》主イエスさま、あなたは私の模範です。とてもあなたと同じように振る舞うことはできません。それでも聖書に書かれているあなたの言動を観察し、時には真似をし、何かの選択をするとき「イエスさまだったらどうするか?」とあなたから学ぶことができます。あなたの心が、私の心となりますように。
牧師 和田一郎
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