ルターのベッド ―万人祭司

「あなたがたは、選ばれた民、王の祭司、聖なる国民、神のものとなった民です。」 (ペトロの手紙一2章9節)
 私たちはだれもが、神に仕える「祭司」とされている――この言葉は16世紀の宗教改革者マルティン・ルターが見いだしたプロテスタント教会における核心的な信仰理解です。彼は、信仰の根本を「信仰のみ(sola fide)」という言葉で表しました。人は努力や功績によって救われるのではなく、ただ神の恵みを信じて受け取る信仰によって、神の前に義とされるという確信です。 カトリック教会には、聖人や聖母マリアを「崇敬」という表現で敬う伝統があり、その遺骨や遺品を「聖なる遺物」として大切にしています。それは先人たちの功績を通して信仰を受け継いできた証しでもあります。一方、プロテスタント教会は「万人祭司」という信仰理解を大切にします。神に近づくための特別な仲介者を必要とせず、すべての信じる者がキリストに結ばれて神と直接交わることができる・・・それが、ペトロの言葉に示された意味です。 興味深いことに、改革者ルター自身が死を迎えた後、彼を慕う人々が臨終の床を巡礼のように訪れたと伝えられています。訪れる人々がルター臨終のベッドの木片を記念や薬として削り取っていくので、再び「聖なる遺物」が生まれてしまうのではないかと恐れた当局が、そのベッドを焼却したという逸話が残っています。人は誰かを慕うとき、どうしても目に見えるものに触れたくなるのかもしれません。信仰とは、見えない神を信じる心のことです。そのとき、私たちはみな「聖なる国民」とされていくのです。
《祈り》神さま。あなたは私たち一人ひとりを選び、王の祭司、聖なる民として呼び出してくださいました。すべての人、そして、このような小さな私も、神の前に立って、他者のために執り成す者とされた恵みに感謝いたします。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/