キュー王立植物園

「主よ、あなたは私を調べ 私を知っておられる。あなたは座るのも立つのも知り 遠くから私の思いを理解される。」 (詩編139編1-2節)
 ロンドンの南西部、テムズ川沿いに英国キュー王立植物園がある。1万4千本の植物が植えられ世界最大の規模と多様なコレクションで知られる。敷地の一角にある研究棟の図書館には約20万枚の植物画が収蔵されている。植物画というのは、もともと学者の貴重な研究資料としての役割があり、キュー王立植物園には公認植物画家がいて、今も資料を作り続けているそうです。カメラが存在しなかった時代からの資料は貴重だが、高度なデジタル技術が進んだ近年において、人の手で絵を描く必要があるのだろうか?と思います。 しかし、公認植物画家が今も描き続けている理由は、写真が「見えたもの」を写すのに対し、植物画は「研究者が知りたい情報」を整理し、可視化するために描かれているそうです。写真は、ある一瞬を切り取りますが、植物画は開花前・開花後・結実期を同時に一枚に描いたりして、葉・茎・花・実・根を、最も識別しやすい形に整理するそうです。つまり、「種の本質」が編集された視覚情報なのです。植物画家は描く前に長時間、植物を観察して、何が「種の特徴」かを考えるそうですが、何かそこに聖書的な響きを感じました。人の目に映るものをそのまま写す、デジタルカメラと違い、ものの本質を見極め、真実を見る。「人は目に映るところを見るが、主は心を見る」(サムエル上16:7)という聖書の言葉を思い起します。 そして詩編139編は神が人間を外側からではなく、内側から深く知っておられることを語ります。その人の存在そのものを、時間をかけて見つめ、理解している。それは、日常の何気ない営みのすべてが、神さまのまなざしの中にあるという詩人の告白なのです。
《祈り》主よ、あなたはこの私の言葉になる前の思いも、誰にも気づかれない小さな営みも、見つめてくださっています。私たちも、急いで判断するのではなく、丁寧に見つめ、聴き、理解しようとする心を与えてください。自分自身に対しても、隣人に対しても、あなたのまなざしに倣うことができますように。
牧師 和田一郎
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