ジョンレノンの告白

「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間です」 (ルカによる福音書5章8節)
 ジョン・レノンは、ポール・マッカートニーと共にビートルズの名曲を生み出した類まれなアーチストです。しかし、彼らの初期の歌は明るくて単純でした。「彼女が好きだ」「君を愛している」といった内容が多かったのです。デビューから二年が過ぎた頃、ジョンはある人に勧められたのです。「もっと自伝的な曲や、経験を書いてみたらどうだ?」 その言葉は、ジョンの作風に大きな変化を与えたそうです。それがきっかけとなって生まれたのが、“I’m A Loser" でした。それは当時としては珍しく、人気絶頂のアイドルが自分の弱さをさらけ出す歌でした。“loser"とは「負け犬」という日本語の訳以上に強く、人を中傷するために使われる言葉を、ジョンは自分自身に向けて使ったのです。 彼は後に「自分のことを“負け犬"だと思う一方で、全能の神とも思っていた」と発言したそうです。人はある時、自分を惨めに思い、またある時は自分こそ中心だ、と「神」のような顔をしてしまう。つまり私たちは、自己嫌悪と傲慢の間を行ったり来たりするのです。そして、それはどちらも苦しい。 “lose"には、「負ける」だけでなく「失う」という意味もあります。ジョンは17歳のときに母を交通事故で失った経験がありました。「こんな運命を受けるなんて、僕は何をしたのだろう?」という歌詞の一節は、理不尽さへの嘆きか?神への抗議でしょうか。 ジョンが自分の弱さを、さらけ出したのは単なる自己否定ではなく、むしろ「真実に触れよう」とした一歩だったのかも知れません。強がり続ける限り、人は救われず、「私は弱い」と言えた瞬間、神の憐れみによって平安が入り込んできます。 ペトロが「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間です」と言ったのは、イエスさまの前に立ったとき、自分の汚れが隠せなくなったからです。けれど、その告白をイエスさまは退けず、むしろ「わたしについて来なさい」とペトロの恐れを解き、新しい人生へ招かれたのです。弱さや罪を見つめるとき、そこが終わりではなく、主の憐れみによって新しいスタートの入口となるのです。
《祈り》主よ、あなたは罪人を退けず、むしろ招いてくださるお方です。悲しみを抱えている者には慰めを、罪責感に縛られている者には赦しの確信を、疲れている者には平安を与えてください。
牧師 和田一郎
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