信と行
「あなたがたは恵みにより、信仰を通して救われたのです。それは、あなたがたの力によるのではなく、神の賜物です。行いによるのではありません。それは、誰も誇ることがないためです。私たちは神の作品であって、神が前もって準備してくださった善い行いのために、キリスト・イエスにあって造られたからです。それは、私たちが善い行いをして歩むためです。」 (エフェソの信徒への手紙2章8-10節)
「悪人こそが救いの対象である」という仏教思想は、多くの日本人の心を捉えてきました。その基礎を築いた僧侶・法然は、難しい修行を積むことができなくても、阿弥陀仏を信じ、その名を唱えることによって救われると説きました。救いは人間の能力や善い行いによらない、という教えです。 その根拠とされた『無量寿経』という仏教経典には、仏様が「私を信じ、念仏を唱える者を、必ず救う」という言葉が記されています。ただし同時に、親を殺すなどの重大な罪を犯した者や、仏の教えを否定する者は除かれるとも記されています。ところが法然はこの除外規定を無視して、すべての人に向けられた阿弥陀仏の慈悲を説きました。 さらに、その弟子である親鸞は、「それでは、重大な罪を犯した極悪人は、本当に救われるのか」という問題を深めました。法然も親鸞も、人間の善い行いではなく、「信」による救いを強調しました。しかし、法然自身は戒律を守る生活を送り、親鸞も極悪人には悔い改めの「行」を求めました。信じるだけでよいのか、それとも何らかの行いが必要なのか。「信」と「行」との関係は必ずしも明瞭ではありません。 しかし、聖書は、この問題について明確な順序を示しています。まず「あなたがたは・・・信仰によって救われました・・・行いによるのではありません」とあります。救いは、私たちの善行や努力に対する報酬ではありません。罪人である私たちに神が与えてくださる、無償の恵みです。だからこそ、誰も自分を誇ることはできません。しかし、そこで終わりません。「それは、私たちが善い行いをして歩むためです」(10節)。 善い行いは、救われるための条件ではなく、救われた結果、善い行いを歩む者となる。悔い改めも、神の恵みに触れた者から生まれる応答です。私たちは善い人間になったから救われるのではありません。救われたからこそ、神によって造り変えられ、善い行いへと歩み始めるのです。
《祈り》恵み深い神さま。私たちが、救われるために善い行いをするのではなく、救っていただいた喜びと感謝から、あなたが備えてくださった善い業に励むことができますように。私たちの言葉と行いを通して、キリストの愛が周りの人々に伝わりますように。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/
「悪人こそが救いの対象である」という仏教思想は、多くの日本人の心を捉えてきました。その基礎を築いた僧侶・法然は、難しい修行を積むことができなくても、阿弥陀仏を信じ、その名を唱えることによって救われると説きました。救いは人間の能力や善い行いによらない、という教えです。 その根拠とされた『無量寿経』という仏教経典には、仏様が「私を信じ、念仏を唱える者を、必ず救う」という言葉が記されています。ただし同時に、親を殺すなどの重大な罪を犯した者や、仏の教えを否定する者は除かれるとも記されています。ところが法然はこの除外規定を無視して、すべての人に向けられた阿弥陀仏の慈悲を説きました。 さらに、その弟子である親鸞は、「それでは、重大な罪を犯した極悪人は、本当に救われるのか」という問題を深めました。法然も親鸞も、人間の善い行いではなく、「信」による救いを強調しました。しかし、法然自身は戒律を守る生活を送り、親鸞も極悪人には悔い改めの「行」を求めました。信じるだけでよいのか、それとも何らかの行いが必要なのか。「信」と「行」との関係は必ずしも明瞭ではありません。 しかし、聖書は、この問題について明確な順序を示しています。まず「あなたがたは・・・信仰によって救われました・・・行いによるのではありません」とあります。救いは、私たちの善行や努力に対する報酬ではありません。罪人である私たちに神が与えてくださる、無償の恵みです。だからこそ、誰も自分を誇ることはできません。しかし、そこで終わりません。「それは、私たちが善い行いをして歩むためです」(10節)。 善い行いは、救われるための条件ではなく、救われた結果、善い行いを歩む者となる。悔い改めも、神の恵みに触れた者から生まれる応答です。私たちは善い人間になったから救われるのではありません。救われたからこそ、神によって造り変えられ、善い行いへと歩み始めるのです。
《祈り》恵み深い神さま。私たちが、救われるために善い行いをするのではなく、救っていただいた喜びと感謝から、あなたが備えてくださった善い業に励むことができますように。私たちの言葉と行いを通して、キリストの愛が周りの人々に伝わりますように。
牧師 和田一郎
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