この町のために祈る

「家を建てて住み、果樹園を造って、その実を食べなさい。妻をめとって息子、娘をもうけ、息子には妻を迎え、娘は嫁がせて、息子、娘を産ませるように。そこで増えよ。減ってはならない。私が、あなたがたを捕囚として送った町の平安を求め、その町のために主に祈りなさい。その町の平安があってこそ、あなたがたにも平安があるのだから。」 (エレミヤ書29章5-7節)
 住宅公団の団地で育った私は、NHK「団地のふたり」というドラマ楽しみに見ていた。私と同学年の小泉今日子さんと、小林聡美さんが演じていたのでとてもリアルに、そして、あらためて「団地っていいなぁ」と見入ってしまった。 ドラマによると、日本に住宅公団ができたのは、戦後、空襲で焼け野原になった日本には、住む家が圧倒的に不足していたからだ。戦後の混乱から高度経済成長へと進む中、日本人に豊かな生活をしてほしいという思いから公団住宅の建設は始まったそうだ。 それまでの木造住宅から火事や地震にも強い、夢のような鉄筋の建物へ。建築家たちは、各棟のゆとりある間隔、緑あふれる空間、子どもたちの遊び場を置いた。戦後、家も土地も失った日本人に「団地」という新しいコミュニティが日本全国に生まれていった。その戦後の役割を少しずつ終えつつある今も、団地では、老若男女、さまざまな人々が生きている。 バビロンに捕囚となったユダヤ人も、祖国が滅びて異国の地に移住させられ、ある意味「戦後」を生きていた。そして、その異国で築かれたコミュニティを通して、新しいイスラエル建国の下地が作られていったのです。人は捕囚と聞くと、悲惨で哀れだと思いがちです。しかし神がエレミヤを通して語られたことは「家庭を築きなさい。子どもを育てなさい。そして、その町の平安を祈りなさい」というのです。その土地で人と人とのつながりを育み、神を礼拝しながら生きるように命じられたのです。 人は一人では人間らしく生きることはできない。家族、隣人、支え合う共同体があって、人は思いやりや忍耐を学んでいく。人生には思いがけない「捕囚」のような時期が訪れることがあります。しかし神は、その場所を無意味にはされません。そこで出会う人々との交わり、神との交わりを通して、私たちの信仰を育み、神の国の建設を進めておられるのです。
《祈り》主よ、この町のために祈ります。この町に住む人々には、喜びもあれば、悩みや不安もあります。どうか、その人たちにもキリストの平和が満たされますように。私がこの町に住んでいるのは、このことを祈るためです。アーメン。
牧師 和田一郎
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