ユズリハ

「多くの証人の前で私から聞いたことを、ほかの人々にも教えることができる忠実な人たちに委ねなさい。」 (テモテへの手紙二2章2節)
 ユズリハは、高さが十メートルほどにもなる常緑樹です。春になって新しい葉が生えてくると、古い葉は若い葉に場所を譲るように垂れ下がります。そして、新しい葉が十分に成長した頃、役目を終えて静かに落ちていきます。新しい葉の成長を見届けてから古い葉が落ちることから「譲る葉」と書いてユズリハと呼ばれ、「親子草」という別名もあります。古くから、親から子へ命が受け継がれていく縁起のよい植物として、正月飾りにも用いられてきました。 使徒パウロは、若い伝道者テモテに、自分から聞いた福音を、さらに他の人々へ伝えることのできる忠実な人たちに委ねるように語りました。パウロからテモテへ、テモテから次の人々へと、信仰が受け渡されていくのです。私たちの信仰も、誰かから手渡されたものです。聖書の言葉を教え、私たちのために祈り、礼拝へと導いてくれた人がいたからこそ、私たちは神様の愛を知ることができました。そして今度は、私たちが受け取った福音を次の世代へ手渡していきます。しかし、信仰を伝えるとは、自分と同じ考え方や生き方を押しつけることではありません。その人が神様の前に立ち、自分の足で歩めるようになるまで、祈りながら支えることです。そして、成長を見届けたなら、信頼して役割を委ねていくのです。 新しい葉が育つことは、古い葉が不要になったということではありません。新しい葉の成長そのものが、これまで木を養ってきた古い葉の実りです。先の世代がささげた祈りや示した愛も、次の世代の中に残り、その歩みを支え続けます。新しい葉が成長することを喜び、その安全を祈り、時が来たなら道を譲る。ユズリハは、神様の恵みを次の世代へ託していくことの尊さを、静かに教えているのです。
《祈り》神様、先の世代から受け継いだ信仰を大切にし、次の世代へ喜んで手渡すことができますように。新しい働きを担う人々の成長を信じて委ねる心をお与えください。
牧師 和田一郎
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