持つこととあること

「二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした。」(創世記3:7)

 エーリッヒ・フロムという人がいますが、彼は「生きるということ」という素晴らしい本を書いています。
 日本語のタイトルは「生きるということ」ですが、元々のタイトルは「持つこととあること(To Have Or To Be?)」というタイトルなのです。
つまり、「持つこと」、英語で「to have」とか「having」と言います。本の内容からしても、これを「doing」と言ってもよいかと思います。
そして「あること」とは「あり方」と言ってもいいと思いますが、フロムはこれを「to be」「being」と言う訳です。
 ところで、この本の裏表紙に3人の著名な哲学者の短い言葉が紹介されています。
 最初は老子です。「なすべき道は、あることである。」
 そして、次にエックハルト。「人が考えるべきことは何をなすべきではなく、自分が何であるかである。」
 最後に、マルクスです。「君があることが少なければ少ないほど、君が君の生命(いのち)を表現することが少なければ少ないほど−それだけ多く君は持ち、それだけ多く君の生命は疎外される。」
 私はこれら3つの言葉を読みながら、聖書に通じる真理を汲み取ることができると思いました。創世記第3章に出てくる《いちじくの葉の原理》です。
 私に足りなさや恥ずかしさや物足りなさを覚える時に、そこを「いちじくの葉」で隠そうとするのです。ある人にとって、そうした「いちじくの葉」が、高価な装飾品であったり、肩書や学歴であったり、クルマや立派なマイホームであったり・・・。
 でも、聖書は、あなたが求めているもの、それは創り主なる神さまなのです。人生において一番大切である神さまにお会いしていない時に、私たちは別のもので満たそうとするからです。あなたはどう思います?

 いってらっしゃい。

 牧師 松本雅弘

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