系図
「サルモンはラハブによってボアズを、ボアズはルツによってオベドを、オベドはエッサイを、エッサイはダビデ王をもうけた。」(マタイ1:5−6)
ルツ記は系図をもって締めくくられています。ボアズとルツの間に生まれたオベドはエッサイを生み、そしてエッサイからイスラエル史上、王の王と呼ばれるダビデが生まれてくるのです。
この系図は、のちにルツ記を読むイスラエルの人々にとって2つの意味で大変ショッキングなものでした。
1つは、ルツがあの偉大な王様ダビデのお祖父さんの母親であったという事実。もう1つは、ダビデを生み出す家系の中に2人の異邦人が入っていた、と言う事実です。
1人は異邦人の地モアブの女ルツ。そしてもう1人は「サルマにはボアズが生まれ」とあるボアズです。マタイ福音書1章の系図によれば、「サルモンはラハブによってボアズを」と、母ラハブの名前が出てきます。
ラハブという女性はカナン人でした。しかも、ヨシュア記によればこのラハブは遊女であったことが分ります。モアブ人、カナン人、そして遊女の末裔として、オベド、エッサイ、そして、ダビデ王が続いていったのです。
私たちも自分ではどうしょうもない背景、動かしがたい過去を引きずることがあるかもしれません。変えることのできないことの故に悩みも大きいかもしれません。
そして周囲の目は、そのような者に対して厳しく、冷たいものです。聖書を見ていくと、しばしば信仰共同体の中にあっても、こうした偏見で人をはかり、人を傷つけ、優劣を競わせ、劣等感で打ちのめすとい事実があります。
しかし、この系図を見る時に、私たちは別のものの見方で支配される必要のあることを教えられます。それは聖書が教える物の見方です。神さまはこのような家系を敢えて選び、私たちの救い主イエスさまを誕生されたのです。
そのことの中に、神さまの温かい愛と志とを感じるのです。
いってらっしゃい。
牧師 松本雅弘