成人になられた方たちへ

「イエスは言われた。『どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。』」(ルカ2:49)

 今日は成人の日ですが、感染症の再拡大によりお祝いの会が延期になってしまいました。
ところで、人間が大人になることを「アイデンティティーの確立」と表現した学者がいました。言わば「自分が何者なのか」が分かることです。
しかも今の日本のように複雑な社会においては、大人になるための大切な問い、「自分が何者なのか」がなかなかつかめないと言われます。
今日の聖句には、「神殿こそが自分の父の家なのだ」と主張するイエスさまの言葉が出て来ます。ちょうど一年後に成人式を迎えるイエスさまが、神殿において、自分にとって本当の父親が神であり、そのお方との関係で自分が何者かを受け取った。
まさにアイデンティティーを確立した時の発言のように聞こえるわけです。
マタイ福音書は、最初ヨセフはマリア妊娠の事実に苦しんだと伝えます。旅先のベツレヘムにはヨセフの親戚もいたはず。ところが人々はヨセフとマリアに物凄く冷たかったのです。
ある聖書学者は、彼らの冷たさの原因がベツレヘムにまで届いていたマリアの妊娠を巡る噂のせいだったと解釈しています。
ベツレヘムでそうだとしたら、地元ナザレの人々はどうだったのか?最初ヨセフですら受容できなかった事を赤の他人が理解したかどうかは疑わしい。場合によって変な噂も流れたかもしれません。
仮にそれが少年イエスの耳に入ったとしたら、心はどれだけ動揺しただろうか。大工仕事に精を出すヨセフを見て、ふと〈ぼくの本当のお父さんは・・・?〉と自問したに違いない。
これこそが一年後に成人式を控えたイエスさまにとって切実な問いだったのではないかと思います。しかし神との交わりにおいてそれをクリアなさった。私たちも主に倣うのです。

 いってらっしゃい。

 牧師 松本雅弘

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