十戒① (全11回)
【はじめに】
「先生、律法の中で、どの戒めが最も重要でしょうか。」イエスは言われた。「『心を尽くし、魂を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の戒めである。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つの戒めに、律法全体と預言者とが、かかっているのだ。」 (マタイによる福音書22章36-40節)
イスラエルの民がエジプトの奴隷状態から脱出し、シナイ山まで来た時、神さまがモーセに授けた10の戒律のことを「十戒」といいます。「じゅっかい」ではなく「じっかい」と読みます。400年間エジプトで奴隷としてエジプト人の命令だけを守っていた人々は、突然自由な生活が始まりましたが、どのように生きればいいのかが分かりませんでした。そこで神さまは、神の民として生きるために「十戒」を忠実に守って生きることによって、民を真の幸福に導くことを約束なさいました。そして、キリスト教会は現在に至るまで、人々が真の自由を生きるための指針として用いてきました。 約束を守るということは窮屈な生き方ではありません。人間に自由を与え尊敬と期待をもって約束してくださった神との愛に生きることを意味します。それはキリスト者が生きるべき世界観と歴史観、そして人生観を与えてくれます。「自分の人生は自分が一番よく分かっている」と人生の中心は自分だと考えている限り、他人と自分を比較する人生から抜け出すことができません。他の人との比較によって右往左往する人生からの解放される道は、神さまとの約束を守っていくことで得られます。競争社会に翻弄されたり、人と比べあったりすることから解放された、本当の自由が与えられます。自分の人生を自分らしく生きていくことができる、それが自由への指針である十戒です。 ある金持ちの青年が、イエスさまに質問しました。「律法の中で、どの戒めが最も重要でしょうか。」それに答えたイエスさまは、「あなたの神である主を愛しなさい。」、そして「隣人を自分のように愛しなさい。」この二つの戒め、つまりモーセの十戒の前半と後半には、聖書全体が集約されているのだと教えてくださったのです。
《祈り》神よ、何をどのように判断してよいのか分からない、混沌とした時代を私たちは生きています。先を行くには指針が必要です。「十戒」というあなたの愛が、昼は雲の柱となって、夜は火の柱となって生きる道を示しています。そこに自由があることに感謝いたします。
「十戒は二枚の板からなっている」 モーセが神さまから授かった「十戒」は、二枚の石に分かれていました。十戒は大きく二つの区分に分けることができます。前半の1戒―4戒は「神と人との関係」、後半の5戒―10戒は「人と人との関係」をいかに生きるかが記されています。
神と人との関係に関する戒律 【第1戒】「あなたには、私をおいてほかに神々があってはならない。」(3節) 【第2戒】「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」(4-6節) 【第3戒】「あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰せずにはおかない。」(7節) 【第4戒】「安息日を覚えて、これを聖別しなさい。六日間は働いて、あなたのすべての仕事をしなさい。しかし、七日目はあなたの神、主の安息日であるから、どのような仕事もしてはならない。あなたも、息子も娘も、男女の奴隷も、家畜も、町の中にいるあなたの寄留者も同様である。主は六日のうちに、天と地と海と、そこにあるすべてのものを造り、七日目に休息された。それゆえ、主は安息日を祝福して、これを聖別されたのである。」(8-11節)
人と人とに関する戒律 【第5戒】「あなたの父と母を敬いなさい。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えてくださった土地で長く生きることができる。」(12節) 【第6戒】「殺してはならない。」(13節) 【第7戒】「姦淫してはならない。」(14節) 【第8戒】「盗んではならない。」(15節) 【第9戒】「隣人について偽りの証言をしてはならない。」(16節) 【第10戒】「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。」(17節)
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/
「先生、律法の中で、どの戒めが最も重要でしょうか。」イエスは言われた。「『心を尽くし、魂を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の戒めである。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つの戒めに、律法全体と預言者とが、かかっているのだ。」 (マタイによる福音書22章36-40節)
イスラエルの民がエジプトの奴隷状態から脱出し、シナイ山まで来た時、神さまがモーセに授けた10の戒律のことを「十戒」といいます。「じゅっかい」ではなく「じっかい」と読みます。400年間エジプトで奴隷としてエジプト人の命令だけを守っていた人々は、突然自由な生活が始まりましたが、どのように生きればいいのかが分かりませんでした。そこで神さまは、神の民として生きるために「十戒」を忠実に守って生きることによって、民を真の幸福に導くことを約束なさいました。そして、キリスト教会は現在に至るまで、人々が真の自由を生きるための指針として用いてきました。 約束を守るということは窮屈な生き方ではありません。人間に自由を与え尊敬と期待をもって約束してくださった神との愛に生きることを意味します。それはキリスト者が生きるべき世界観と歴史観、そして人生観を与えてくれます。「自分の人生は自分が一番よく分かっている」と人生の中心は自分だと考えている限り、他人と自分を比較する人生から抜け出すことができません。他の人との比較によって右往左往する人生からの解放される道は、神さまとの約束を守っていくことで得られます。競争社会に翻弄されたり、人と比べあったりすることから解放された、本当の自由が与えられます。自分の人生を自分らしく生きていくことができる、それが自由への指針である十戒です。 ある金持ちの青年が、イエスさまに質問しました。「律法の中で、どの戒めが最も重要でしょうか。」それに答えたイエスさまは、「あなたの神である主を愛しなさい。」、そして「隣人を自分のように愛しなさい。」この二つの戒め、つまりモーセの十戒の前半と後半には、聖書全体が集約されているのだと教えてくださったのです。
《祈り》神よ、何をどのように判断してよいのか分からない、混沌とした時代を私たちは生きています。先を行くには指針が必要です。「十戒」というあなたの愛が、昼は雲の柱となって、夜は火の柱となって生きる道を示しています。そこに自由があることに感謝いたします。
「十戒は二枚の板からなっている」 モーセが神さまから授かった「十戒」は、二枚の石に分かれていました。十戒は大きく二つの区分に分けることができます。前半の1戒―4戒は「神と人との関係」、後半の5戒―10戒は「人と人との関係」をいかに生きるかが記されています。
神と人との関係に関する戒律 【第1戒】「あなたには、私をおいてほかに神々があってはならない。」(3節) 【第2戒】「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」(4-6節) 【第3戒】「あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰せずにはおかない。」(7節) 【第4戒】「安息日を覚えて、これを聖別しなさい。六日間は働いて、あなたのすべての仕事をしなさい。しかし、七日目はあなたの神、主の安息日であるから、どのような仕事もしてはならない。あなたも、息子も娘も、男女の奴隷も、家畜も、町の中にいるあなたの寄留者も同様である。主は六日のうちに、天と地と海と、そこにあるすべてのものを造り、七日目に休息された。それゆえ、主は安息日を祝福して、これを聖別されたのである。」(8-11節)
人と人とに関する戒律 【第5戒】「あなたの父と母を敬いなさい。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えてくださった土地で長く生きることができる。」(12節) 【第6戒】「殺してはならない。」(13節) 【第7戒】「姦淫してはならない。」(14節) 【第8戒】「盗んではならない。」(15節) 【第9戒】「隣人について偽りの証言をしてはならない。」(16節) 【第10戒】「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。」(17節)
牧師 和田一郎
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