十戒② (全11回)

【第一戒】
「あなたには、私をおいてほかに神々があってはならない。」 (出エジプト記20章3節)
 これは、唯一であり真の神以外を礼拝してはならないという戒めです。 日本では八百万(やおよろず)の神という言葉をよく聞きますが、旧約聖書の時代も至る所に神が存在していると考え、月や太陽を礼拝する習慣がありました。主なる神は「そのように神でないものを神としてはいけない」と教えました。しかしその対象は形のあるものとは限りません。神さまへの信頼以上に、地位や名誉を優先するならば、それを神としているのです。困ったらグーグルやYouTubeを優先するならば、他の神を崇拝していることになってしまうのです。  神さまが十戒を与えてくださった理由は、私たちへの「愛」ゆえに与え、約束してくださったのです。ところがこの第一戒は、キリスト教は一神教だから冷たくて厳しい、他の宗教を認めないから器が小さいし、争いのもとになっていると言われることがあります。しかし、結婚にたとえるならば、自分の妻が「私が他の男の人と関係をもってもいいでしょ?あなた器が小さいけど寛容になってね」と言われたら、怒らないで認めるのが愛とは言えません。「ボクは寛容だからいいよ!」と言ったら、それは愛の放棄です。第一戒の根源にあるのが愛であるならば、他の神々に心が移ってはならないのは当然のことです。自分だけを愛しなさいという約束は、いつも見張られているような気持ちになるかも知れません。しかし、「あなたには、私をおいて・・・」と「あなた」と「私」と言ってくださる人格的な神さまが、変わることなく私たちの人生を、いつも見守ってくださるという安心感があります。そして、私たちは世間の評価に左右されて不自由さを感じることなく、振り回されずに自由に生きることができる、人生の基準を手にすることができるのです。 イスラエルの民は、主なる神様によってエジプトの奴隷状態から解放されましたが、私たちにも、同じ解放の恵みを与えて下さっています。イエスさまが、私たちの罪を全て背負って十字架で死んで復活して下さったことによって、私たちは自由を得ています。 「この自由を得させるために、キリストは私たちを解放してくださいました。」 (ガラテヤ5:1)
《祈り》主よ、私の主は一人、信仰は一つ、洗礼は一つです。すべてのものの父なる神さま、あなたは唯一であって、すべてのものの上にあり、すべてのものを貫き、すべてのものの内におられます。私には、あなたをおいて他の神などおりません。アーメン。
「十戒は二枚の板からなっている」  モーセが神さまから授かった「十戒」は、二枚の石に分かれていました。十戒は大きく二つの区分に分けることができます。前半の1戒―4戒は「神と人との関係」、後半の5戒―10戒は「人と人との関係」をいかに生きるかが記されています。
神と人との関係に関する戒律 【第1戒】「あなたには、私をおいてほかに神々があってはならない。」(3節) 【第2戒】「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」(4-6節) 【第3戒】「あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰せずにはおかない。」(7節) 【第4戒】「安息日を覚えて、これを聖別しなさい。六日間は働いて、あなたのすべての仕事をしなさい。しかし、七日目はあなたの神、主の安息日であるから、どのような仕事もしてはならない。あなたも、息子も娘も、男女の奴隷も、家畜も、町の中にいるあなたの寄留者も同様である。主は六日のうちに、天と地と海と、そこにあるすべてのものを造り、七日目に休息された。それゆえ、主は安息日を祝福して、これを聖別されたのである。」(8-11節)
人と人とに関する戒律 【第5戒】「あなたの父と母を敬いなさい。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えてくださった土地で長く生きることができる。」(12節) 【第6戒】「殺してはならない。」(13節) 【第7戒】「姦淫してはならない。」(14節) 【第8戒】「盗んではならない。」(15節) 【第9戒】「隣人について偽りの証言をしてはならない。」(16節) 【第10戒】「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。」(17節)
牧師 和田一郎
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