十戒③ (全11回)
【第二戒】
「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」 (出エジプト記20章4-6節)
これは、目に見える神の肖像や彫像を造ってはならないという戒めです。私たちは神さまを実際に目でみたことがないのですから、正確に神を描写することはできません。神さまを象徴する偶像を造ることは、偽の神を礼拝することになってしまうのです。 プロテスタント教会の教義の核心は「ソラ・スクリプトゥラ(聖書のみ)」という原則で、肖像や絵画に対する崇拝を否定しています。これは、16世紀の宗教改革でカトリック教会の聖像使用が大きな論争になったためです。プロテスタント教会は、「十戒」に背くとして、宗教美術品を破壊する運動が起こりました。カトリック教会は反撃手段として宗教画を「宗教芸術」として布教に利用することを考えました。美術品自体は礼拝の対象ではないことが定義され、プロテスタントの批判を否定することに成功。そして、字が読めない庶民に信仰を促して、広く市民が楽しめる改革を行います。それがミケランジェロ、ラファエロなどに代表されるバロック美術です。 しかし、美術品を作るにしても、気を付けなければならない点は、人間の思い通りに神を造り出せることです。これは人間にとって都合のいい神です。自分の願望を「神」とすることで、人知を超えた偉大なる神ではなく、自己実現の神になってしまいます。さらに聖書を通して「自分はいかにして生きるのか?」という思考を止めてしまう可能性もあるのです。自分で見て触れる偽物の神を作って、それを拝んで安心しようとする人間の弱さを、神さまはよく分かっていたからこそ、この第二戒を与えてくださったのです。 新島襄(同志社大の創立者)は創世記を読み考えました。「なるほど、この世界のあらゆるものは、これを造った神さまがいなくてはできないはずだ。机は大工が作ったものだが、材木は決して人間は造れない。聖書にあるとおり、この世には真の神さまというものがいて、この天地万物を造りご支配しておられるにちがいない」と。納得した彼は、目には見えない神が、天地創造者であると信じたのです。
《祈り》霊なる神さま、あなたは目には見えなくても、そこにおられます。霊であるからこそ、いつでも、どこでも偏在され、時間を超えて永遠の中におられます。天のみ民も地にある者も、共に礼拝できる恵みに感謝いたします。 「十戒は二枚の板からなっている」 モーセが神さまから授かった「十戒」は、二枚の石に分かれていました。十戒は大きく二つの区分に分けることができます。前半の1戒―4戒は「神と人との関係」、後半の5戒―10戒は「人と人との関係」をいかに生きるかが記されています。
神と人との関係に関する戒律 【第1戒】「あなたには、私をおいてほかに神々があってはならない。」(3節) 【第2戒】「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」(4-6節) 【第3戒】「あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰せずにはおかない。」(7節) 【第4戒】「安息日を覚えて、これを聖別しなさい。六日間は働いて、あなたのすべての仕事をしなさい。しかし、七日目はあなたの神、主の安息日であるから、どのような仕事もしてはならない。あなたも、息子も娘も、男女の奴隷も、家畜も、町の中にいるあなたの寄留者も同様である。主は六日のうちに、天と地と海と、そこにあるすべてのものを造り、七日目に休息された。それゆえ、主は安息日を祝福して、これを聖別されたのである。」(8-11節)
人と人とに関する戒律 【第5戒】「あなたの父と母を敬いなさい。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えてくださった土地で長く生きることができる。」(12節) 【第6戒】「殺してはならない。」(13節) 【第7戒】「姦淫してはならない。」(14節) 【第8戒】「盗んではならない。」(15節) 【第9戒】「隣人について偽りの証言をしてはならない。」(16節) 【第10戒】「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。」(17節)
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/
「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」 (出エジプト記20章4-6節)
これは、目に見える神の肖像や彫像を造ってはならないという戒めです。私たちは神さまを実際に目でみたことがないのですから、正確に神を描写することはできません。神さまを象徴する偶像を造ることは、偽の神を礼拝することになってしまうのです。 プロテスタント教会の教義の核心は「ソラ・スクリプトゥラ(聖書のみ)」という原則で、肖像や絵画に対する崇拝を否定しています。これは、16世紀の宗教改革でカトリック教会の聖像使用が大きな論争になったためです。プロテスタント教会は、「十戒」に背くとして、宗教美術品を破壊する運動が起こりました。カトリック教会は反撃手段として宗教画を「宗教芸術」として布教に利用することを考えました。美術品自体は礼拝の対象ではないことが定義され、プロテスタントの批判を否定することに成功。そして、字が読めない庶民に信仰を促して、広く市民が楽しめる改革を行います。それがミケランジェロ、ラファエロなどに代表されるバロック美術です。 しかし、美術品を作るにしても、気を付けなければならない点は、人間の思い通りに神を造り出せることです。これは人間にとって都合のいい神です。自分の願望を「神」とすることで、人知を超えた偉大なる神ではなく、自己実現の神になってしまいます。さらに聖書を通して「自分はいかにして生きるのか?」という思考を止めてしまう可能性もあるのです。自分で見て触れる偽物の神を作って、それを拝んで安心しようとする人間の弱さを、神さまはよく分かっていたからこそ、この第二戒を与えてくださったのです。 新島襄(同志社大の創立者)は創世記を読み考えました。「なるほど、この世界のあらゆるものは、これを造った神さまがいなくてはできないはずだ。机は大工が作ったものだが、材木は決して人間は造れない。聖書にあるとおり、この世には真の神さまというものがいて、この天地万物を造りご支配しておられるにちがいない」と。納得した彼は、目には見えない神が、天地創造者であると信じたのです。
《祈り》霊なる神さま、あなたは目には見えなくても、そこにおられます。霊であるからこそ、いつでも、どこでも偏在され、時間を超えて永遠の中におられます。天のみ民も地にある者も、共に礼拝できる恵みに感謝いたします。 「十戒は二枚の板からなっている」 モーセが神さまから授かった「十戒」は、二枚の石に分かれていました。十戒は大きく二つの区分に分けることができます。前半の1戒―4戒は「神と人との関係」、後半の5戒―10戒は「人と人との関係」をいかに生きるかが記されています。
神と人との関係に関する戒律 【第1戒】「あなたには、私をおいてほかに神々があってはならない。」(3節) 【第2戒】「あなたは自分のために彫像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水にあるものの、いかなる形も造ってはならない。 それにひれ伏し、それに仕えてはならない。私は主、あなたの神、妬む神である。私を憎む者には、父の罪を子に、さらに、三代、四代までも問うが、私を愛し、その戒めを守る者には、幾千代にわたって慈しみを示す。」(4-6節) 【第3戒】「あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰せずにはおかない。」(7節) 【第4戒】「安息日を覚えて、これを聖別しなさい。六日間は働いて、あなたのすべての仕事をしなさい。しかし、七日目はあなたの神、主の安息日であるから、どのような仕事もしてはならない。あなたも、息子も娘も、男女の奴隷も、家畜も、町の中にいるあなたの寄留者も同様である。主は六日のうちに、天と地と海と、そこにあるすべてのものを造り、七日目に休息された。それゆえ、主は安息日を祝福して、これを聖別されたのである。」(8-11節)
人と人とに関する戒律 【第5戒】「あなたの父と母を敬いなさい。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えてくださった土地で長く生きることができる。」(12節) 【第6戒】「殺してはならない。」(13節) 【第7戒】「姦淫してはならない。」(14節) 【第8戒】「盗んではならない。」(15節) 【第9戒】「隣人について偽りの証言をしてはならない。」(16節) 【第10戒】「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。」(17節)
牧師 和田一郎
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