まず捨てよ

「主はアブラムに言われた。「あなたは生まれた地と親族、父の家を離れ 私が示す地に行きなさい。私はあなたを大いなる国民とし、祝福し あなたの名を大いなるものとする。」 (創世記12章1-2節)
 新しいスタートは、まず捨てることから! ユダヤ人は、旧約聖書にある二つのエピソードを比較して「まず捨てること」を大切にするそうです。一つ目のエピソードはアブラハムの出発です。アブラハムは「生まれた地と親族、父の家を離れ 私が示す地に行きなさい」という神の言葉どおり国を出て、親族と別れ、父の家を離れ、神の示す土地に旅立ち、その結果大いに祝福されました。二つ目のエピソード、イスラエルの民はエジプトを旅立つ時、金銀の宝飾品を持参してきたのです。旅の途中、その宝飾品を使って「金の子牛」の彫像を作って崇拝しはじめました。怒った神は彼らを残らず滅ぼされました。 この二つのエピソードはユダヤ人にとってお金や人生の選択における考え方の基礎になっているといいます。新しい旅に出る時にすべてのものを捨てたことによって祝福されたアブラハム。捨てることは新しいものを生みだすことに繋がるのです。コップ一杯に注がれた水は、捨てなければ新鮮な水を注ぎ足せないように、まず捨てなければ生みだすことはできないからです。 アブラハムが聞いた神の言葉は「わたしが示す地に行きなさい」と言われているのみです。行き先も知らずに旅立つのです。神さまにすべてを委ねた信仰への旅立ちです。ただ約束をしてくださいました。「私はあなたを大いなる国民とし、祝福し あなたの名を大いなるものとする。」(創12:2) 神さまはアブラムに旅立ちを促すことによって、信仰の群れを興そうとしておられるのです。信仰の群れとはイスラエルの民であり、現在のキリスト教会です。その群れの歩みによって人間に祝福を与えようとされました。祝福を受け取るには国、親族、家を離れて、まず捨てるところに祝福が注がれます。 あなたの中には与えられた賜物も、経験も、思い出も刻み込まれていますから、それで十分です。新しいスタートは古い荷物を捨てることから。「誰でもキリストにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去り、まさに新しいものが生じたのです。」(2コリント5:17)
《祈り》神さま、新しい年度がスタートします。アブラハムも新しい生活、新しい土地に行くのは不安があったでしょう。しかし、神さまの約束が彼の支えでした。そして、私たちにも約束をして送り出してくださいます。「安心して行きなさい」と。
牧師 和田一郎
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