月と星を仰ぎ見て

『ナゲキバト』より①
「あなたの指の業である天を あなたが据えた月と星を仰ぎ見て、思う。 人とは何者なのか、あなたが心に留めるとは。人の子とは何者なのか、あなたが顧みるとは。あなたは人間を、神に僅かに劣る者とされ 栄光と誉れの冠を授け  御手の業を治めさせ あらゆるものをその足元に置かれた。 羊も牛もことごとく、また野の獣 空の鳥、海の魚 潮路をよぎるものまでも。 主よ、我らの主よ 御名は全地でいかに力強いことか。」 (詩編8編4-10節)
 私が大好きで大切にしている本の一つが『ナゲキバト』(ラリー・バークダル著)という本。主人公の男の子はアメリカのアイダホ州で生れ育ったハニバル。9歳の時に両親を交通事故で亡くして祖父のポップに引き取られた。ポップ爺さんも数年前に妻を亡くしていた、だから二人は家族に先立たれ一人残された者同士。ポップはお話上手で、にらめっこの達人。お話の前にはいつも「よし、にらめっこだ」といってにらめっこ。いつもポップがおかしな顔をして勝つに決まっている。いろんなお話をしてくれた。ある時、ハニバルは夜空を見ながら聞いた「月はどうしてあるの?」「どうしてだと思う?」 「明るくするため?」「そのとおりだ、よく分かったな」と褒めてくれた。「神様はこの世を造った時、空から地上を照らす光も一緒に造られた、それが月と星と太陽だよ。太陽があるおかげで植物は育つ。わしら人間も生きていける。太陽の光は神様の愛と同じだ。地上に生きている、わしらを分け隔てなく照らして暖めてくれる。命あるものは、どんなものでも太陽があるから生きていけるんだよ。」と教えてくれた。  まだ夜明け前の空に、明けの明星を見つけた時、話してくれた。「わしはこんなふうに思うんだよ。神様はあることを思い出させようとして、月と星を造られたんじゃないかってね。あることというのは、どんなに暗くて寂しい時でも、人間は独りぼっちじゃない、ということなんだ。明けの明星は「もうすぐ朝だよ」と語りかけてくれている。宵の明星は、眠りにつく子どもを高い所から見守ってくれている。辛い時は夜空を見上げるといい。神様の造られた光が見えるからね」と天を仰ぎながらポップは言った。 詩編8編の詩人は「人とは何者なのか」と、弱くて罪深い人間に対して、神様の憐れみ深さと愛にとまどい驚いています。その神の愛は人間を決して独りぼっちにしないという憐れみに満ちています。月も星も神の偉大さを現し人を励ましてくださっているのです。
《祈り》主なる神よ、この小さな弱い人間に「神のかたち」を与えてくださった、その愛に感謝いたします。神の恵みによって今日のわたしがあるのです
牧師 和田一郎
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