逆転しない正義

「もし、兄弟か姉妹が、着る物もなく、その日の食べ物にも事欠いているとき、あなたがたの誰かが、その人たちに、『安心して行きなさい。暖まりなさい。存分に食べなさい』と言いながら、体に必要なものを与えないなら、何の役に立つでしょうか。」 (ヤコブの手紙2章15-16節)
 NHK連続テレビ小説『あんぱん』。やなせたかしさんが伝えた「逆転しない正義」という言葉と、登場人物が「すべての人を喜ばせる正義を見つけたい」と語っているのが印象的でした。やなせさんは徴兵されて戦地で厳しい経験をして、真剣に正義について考えました。「正義は時と場合によって、まるきり逆転してしまうことがあるんです。国によっても違うし、戦争のときにはなおさらです。」 第二次世界大戦中、日本で教えられていた「お国のために戦うことが正義」という価値観。しかし、終戦を経てその価値観は「間違っていた」と、あっさり逆転します。「ぼくには何が正しいのか、まったくわからなくなってしまった。」その混沌の中でたどり着いたのが「どんな時代、どんな社会でも、本当に正しい正義とは何か?」という問い。やなせは、頭の中で考える正義は、立場や状況、時代によって簡単に「逆転」してしまうことを目の当たりにしました。 そこから導き出したのが、「逆転しない正義」だった。それは、どんな状況にあっても変わらない、失われない、ごく単純な正義です。自分の顔(パン)を分け与えることで空腹の人を助けるアンパンマンは、「逆転しない正義」を体現するヒーローだったのです。 ヤコブの手紙にはこうあります。信仰は言葉だけではなく、実際の行動として表れなければならないと聖書は教えます。やなせさんが示した「ひもじい人にパンを差し出す」というシンプルな行為は、聖書の語る愛の実践と深く響き合っています。それは時代がどう変わろうと、決して逆転しない神の愛の姿でもあります。
《祈り》恵み深い父よ。どうか私たちが頭で考えるだけの正義ではなく、目の前にいる飢えた人、困っている人に手を差し伸べる者となれますように。あなたの愛は逆転しません。あなたの正義は時代が変わっても逆転しない永遠の正義です。どんな時にも変わらない、あなたの愛にしがみついて、生きることができますように。
牧師 和田一郎
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