「アンティオキアの奇跡」 その時パウロは考えた⑥

全12回 月曜-火曜
「それから、バルナバはサウロを捜しにタルソスへ行き、見つけ出してアンティオキアに連れ帰った。二人は、丸一年の間そこの教会に一緒にいて、大勢の人を教えた。このアンティオキアで初めて、弟子たちがキリスト者と呼ばれるようになった。」 (使徒言行録11章25-26節)
 アンティオキア。そこは、初代教会の歴史において大きな転換点となった場所でした。エルサレムから遠く離れた多民族都市。そこで、ユダヤ人ではない人々、異邦人たちが主イエスを信じ、礼拝し、互いに仕え合う教会が誕生していたのです。この知らせを聞いたエルサレム教会はバルナバを派遣しました。バルナバは、信仰深く、励ます力に満ちた人物でした。しかし、彼の立場は決して軽いものではありません。ユダヤ人中心の教会から遣わされた彼が、異邦人中心の教会をどのように評価するか。その判断が、教会全体の未来を左右したのです。 アンティオキアに到着したバルナバは、そこで見た光景に心を打たれました。違う文化、違う背景、違う価値観を持つ人々が、しかし同じ主に希望を置き、喜びにあふれて集っている。そこに彼は、人間の努力では説明できない「神の恵み」を見たのです。そして彼は彼らにこう勧めます。「固い決意をもって主から離れないように」と。 もしバルナバが異邦人を拒み、ユダヤ人の伝統だけを守ろうとしたなら、教会は分裂していたのではないでしょうか。アンティオキア教会はユダヤ人と距離をとり、ユダヤ人の教会は独りよがりの群れとなり、福音は世界へと広がることはなかったかも知れません。しかし、バルナバは神の恵みを見て喜び、違いの中に働く神を認めました。その信仰が、教会の未来を開いたのです。 アラビアから帰ったパウロも、バルナバの呼びかけに応えて、このアンティオキアで教会に加わり、多種多様な人々が共に礼拝する姿を目の当たりにします。彼は体験から悟りました。信仰とは、みな同じになることではない。違う者同士が、神の愛によって一つにされること。それが「福音」だと、神の豊かさを知るのです。 その時パウロは考えた:「多様性とは一緒になれなくても、一致することなのだ」
《祈り》あなたは異なる歩みをしてきた者を招き、ひとつの食卓へと集めてくださいます。私たちもそれぞれ違う人生、考え方を持ちながら、ただあなたによって一つとされています。一致することは、同じ色になることではなく、あなたに結ばれることで生まれるのです。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/