ガウディの宝

「あなたの宝のあるところに、あなたの心もあるのだ。」 (マタイによる福音書6章21節)
 1914年の冬、アントニオ・ガウディは、寒空の下で家々を訪ね歩いていました。当時からスペインを代表する建築家として名を知られていた彼は、サグラダ・ファミリア大聖堂の建築資金を集めるために訪問していたのです。しかし戦争による不景気の中、応じてくれる人はほとんどいませんでした。しかもこの聖堂は「貧しい人の、貧しい人のための聖堂」であり、巨額の献金に頼ることを彼自身が望まなかったのです。 かつての彼は、上流階級の生活を楽しむ建築家でした。美しい服をまとい、美酒美食を味わい、快適な暮らしを送っていました。ところが、聖堂の建築に深く関わるうちに、彼の内側に変化が起こります。彼は「私は聖堂のために生きる」と誓いました。報酬も受け取らず、他の仕事も手放し、生活は変わっていきました。朝食はとらず、昼は野菜と牛乳と果物だけ。衣服も同じものを着続け、古着を買ってもらう。やせ細った姿は、しばしば物乞いと間違えられたほどでした。 なぜガウディは変わったのでしょうか。それは、彼の「宝の場所」が変わったからです。イエスさまは言われました。「あなたの宝のあるところに、あなたの心もあるのだ。」 人は自分の心が置かれているところに、人生を費やします。名誉に心を置くなら、名誉のために生きます。財産に心を置くなら、財産を守るために生きます。しかし神に心を置くなら、人は神のために生きるようになるのです。ガウディの変化は、単なる禁欲ではありませんでした。彼は「貧しくなった」のではなく、「向かう先が変わった」のです。 私たちは何に時間を使い、何に心を費やし、それは誰のための、何のためでしょうか。そこに私たちの「宝」があります。その宝の場所が変わると、生活も変わっていきます。
《祈り》私たちの日々の働き、家庭の営み、教会の奉仕の中で「どこに宝を置くか」を問い続ける者としてください。人に知られなくても、あなたがご覧になっていることを喜びとして歩ませてください。
牧師 和田一郎
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