部下の忠告
「今、身を起こし、外に出て、家臣たちに優しく語りかけてください。」 (サムエル記下19章8節)
学生時代に『三国志』を読みました。それは「フルマラソンを完走する」的な動機でした。世に知られている文学作品を読破してやろうと(若かった!)、さまざまな本を読んでいた中で、『三国志』は長編で難関でした。マンガも含めさまざまな作家の『三国志』がありますが、やはり吉川英治先生の『三国志』が日本での定番だと思い、読破しました。 そこには、劉備玄徳を取り巻く魅力的な人物が登場します。豪快で不器用で正直な張飛(ちょうひ)、敵将からも敬意をもたれた義の人・関羽(かんう)。しかし、彼らほど目立ちませんが、私が一番惹かれたのは、趙雲(ちょううん)という武将でした。 劉備が怒りに燃え、復讐戦を始めようとした時、ただ一人反対したのが趙雲でした。「今は魏が最大の敵です。怒りで戦えば国が滅びます。」吉川英治は、この時の趙雲を、恐れず正論を語る唯一の家臣として描いています(吉川英治著『三国志』第四巻「臣道」)。 ダビデ王の有能な司令官ヨアブも、冷徹に敵を討つ武将でした。信仰的に模範となる人物とは言えませんが、どこか魅力のある人です。ある日、ダビデの息子アブシャロムが反乱を起こします。ダビデは「アブシャロムを手荒に扱うな」と命じます。つまり、反乱を起こした息子に、父親としての情をかけたのです。 戦場でアブシャロムは木に引っかかり、無防備になりました。その姿を見たヨアブは、王の命令に反して彼を殺します。なぜか? 彼には分かっていました。アブシャロムが生きていれば内戦は終わらず国は崩壊すると。ダビデ王とイスラエルのために命をかけて勝利したヨアブと兵たちでしたが、ダビデは勝利を喜ばず、泣き続けました。軍は落胆します。 そのときヨアブは王に言います。「今日、あなたは家臣たちの顔に恥をかかせました。」王に向かってここまで言える人物は、なかなかいません。そして、こう続けます。「外に出て、家臣たちに優しく語りかけてください。」ダビデの王位とイスラエル王国は、この進言によって保たれたのです。
《祈り》神さま。私たちは感情に流され、目の前の悲しみや怒りに弱い者です。どうか、人の忠告に耳を傾け、あなたの御心を第一として歩むことができますように。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/
学生時代に『三国志』を読みました。それは「フルマラソンを完走する」的な動機でした。世に知られている文学作品を読破してやろうと(若かった!)、さまざまな本を読んでいた中で、『三国志』は長編で難関でした。マンガも含めさまざまな作家の『三国志』がありますが、やはり吉川英治先生の『三国志』が日本での定番だと思い、読破しました。 そこには、劉備玄徳を取り巻く魅力的な人物が登場します。豪快で不器用で正直な張飛(ちょうひ)、敵将からも敬意をもたれた義の人・関羽(かんう)。しかし、彼らほど目立ちませんが、私が一番惹かれたのは、趙雲(ちょううん)という武将でした。 劉備が怒りに燃え、復讐戦を始めようとした時、ただ一人反対したのが趙雲でした。「今は魏が最大の敵です。怒りで戦えば国が滅びます。」吉川英治は、この時の趙雲を、恐れず正論を語る唯一の家臣として描いています(吉川英治著『三国志』第四巻「臣道」)。 ダビデ王の有能な司令官ヨアブも、冷徹に敵を討つ武将でした。信仰的に模範となる人物とは言えませんが、どこか魅力のある人です。ある日、ダビデの息子アブシャロムが反乱を起こします。ダビデは「アブシャロムを手荒に扱うな」と命じます。つまり、反乱を起こした息子に、父親としての情をかけたのです。 戦場でアブシャロムは木に引っかかり、無防備になりました。その姿を見たヨアブは、王の命令に反して彼を殺します。なぜか? 彼には分かっていました。アブシャロムが生きていれば内戦は終わらず国は崩壊すると。ダビデ王とイスラエルのために命をかけて勝利したヨアブと兵たちでしたが、ダビデは勝利を喜ばず、泣き続けました。軍は落胆します。 そのときヨアブは王に言います。「今日、あなたは家臣たちの顔に恥をかかせました。」王に向かってここまで言える人物は、なかなかいません。そして、こう続けます。「外に出て、家臣たちに優しく語りかけてください。」ダビデの王位とイスラエル王国は、この進言によって保たれたのです。
《祈り》神さま。私たちは感情に流され、目の前の悲しみや怒りに弱い者です。どうか、人の忠告に耳を傾け、あなたの御心を第一として歩むことができますように。
牧師 和田一郎
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