カインの妻とは誰か?

「カインは主の前を去り、エデンの東、ノドの地に住んだ。カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。」 (創世記4章16-17節)
 「カインの妻とは誰だったのでしょうか?」聖書を読み始めた人が抱く素朴な疑問です。人類最初に造られた人間・アダムとエバから、カインとアベルの二人の息子が生まれたと書かれているのに、いつの間にかカインには妻がいます。「ほかにも人間がいたのだろうか?」と考えてしまうのも無理はありません。聖書はこの問いに直接答えてはいません。アダムは930歳まで生き「息子たちと娘たちを生んだ」とだけ記されています。聖書はすべての子どもの名前を記録しているわけではなく、救いの歴史に関わる人物だけを選んで記しています。そのため、伝統的には、カインの妻はアダムとエバの娘、あるいはその子孫であったと理解されてきました。 けれども、創世記の著者が本当に伝えたかったことは、妻が誰だったのかではありません。むしろ、その直前の「カインは主の前を去り」という言葉にあります。兄弟を殺したカインは、神との交わりを失い、エデンの東へと離れていきます。しかし、そのような人間にも、やがて家庭が与えられ、子どもが生まれ、町が築かれていくのです。 聖書を読んでいて分かるのは、人類の文明や文化は、必ずしも神に忠実な人だけによって築かれてきたのではないということです。罪を抱えた人間もまた家庭を築き、町を造り、歴史を進めてきました。創世記は、人類の歴史とは「神から離れた者たちの歴史」でもあることを率直に描いています。 私たちは「カインの妻は誰か」という知的な興味だけで終わるのではなく、それをきっかけに「私はカインのように神から離れた者なのか、それとも主に従う者なのか」と、自分に問いかけたいと思うのです。創世記は、最初の殺人者カインの物語を通して、人間の罪の深さと、そのような人間にもなお救いの道を備えてくださる神を語っているのです。
《祈り》神よ、カインのように、あなたから離れようとする罪は、私たちが抱える罪でもあります。それでも、あなたが私たちと共に歩んでくださる恵みに感謝いたします。
牧師 和田一郎
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