嵐の後に響く感謝の歌

「主に感謝せよ。主は恵み深く、その慈しみはとこしえに。」 (詩編136編1節)
 ベートーヴェンの代表作の一つ、交響曲第6番《田園》は美しい自然を描いた作品として知られています。しかし、この曲は単なる風景描写ではありません。そこには、自然を造られた神への感謝の心が込められています。《田園》は村人たちの踊りが突然の嵐によって中断され、激しい風雨が過ぎ去ると静けさが戻り、終楽章では穏やかな旋律が流れ始める。ベートーヴェンはこの楽章に「羊飼いの歌。嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気持ち」という副題を付けました。さらに彼のスケッチ帳には「おお主よ、あなたに感謝します。」と書かれていたそうです。難聴というハンディを抱えたベートーヴェンにとって「嵐」は音楽の中だけの出来事ではなかったと思うのです。不安や絶望を経験しながら、それでも彼は自然に触れながら、創造主の存在を感じ、音楽によって神への感謝を表そうとしました。(参考『モーストリー・クラシック』vol351) 詩編136編全体は、「主に感謝せよ」と繰り返します。それは、神が天地を造られ、歴史を導き、苦難の中でも民を見捨てることなく支え続けてくださるお方だからです。そして、その一つ一つの節の終わりには「慈しみはとこしえに」という言葉が繰り返されます。人生には、誰にも避けられない嵐があります。病気、失敗、別れ・・・。しかし、詩編は「嵐がないから感謝しなさい」とは教えていません。「神の慈しみは変わらないから感謝しなさい」と語ります。人生の嵐のただ中にも、そして嵐の後にも、主の変わることのない慈しみがあります。それを知る人は、静かに感謝を口にすることができるのです。
《祈り》主よ、私たちの人生には、思いがけない嵐が訪れます。不安な時、あなたが遠く感じられることもあります。しかし、あなたの慈しみは決して変わることがありません。どのような状況にあっても「おお主よ、あなたに感謝します」と告白する信仰をお与えください。
牧師 和田一郎
ご感想は下まで(スマホ・パソコンの方向けです) forms.gle/EkE9N8gDaJQ7ee2L9
発行者名 高座教会 www.koza-church.jp/