それぞれの道がある

「ペトロは彼を見て、『主よ、この人はどうなるのでしょうか』と言った。・・・『あなたに何の関係があるか。あなたは、私に従いなさい。』」 （ヨハネによる福音書21章21節）
　イエスさまは、湖の湖畔でペトロに話しかけました。「わたしを愛しているか」と、問われたのですが、ペトロは自分が三度もイエスさまを「知らない」と言った人間であることから、自責の念をさらに深くしました。そのペトロに「わたしに従いなさい」と、イエスさまは言われたのです。その言葉は、弱い信仰を自覚し落胆していたペトロに、世界へ宣教していくという職務を与えることによって、あなたを見捨てない、あなたを信頼しているという愛による言葉でした。 他の弟子たちもそれぞれに、宣教して行く道に導かれていくのですが、ペトロは十二弟子の中でも親しい関係にあるヨハネのことが気になりました。いつもイエスさまの近くにいたヨハネは、自分とは違って何か特別な生き方に導かれるのだろうかと気になったのです。しかし、イエスさまは「あなたに何の関係があるか。あなたは、私に従いなさい。」とはっきりとおっしゃいました。他の弟子がどうなるかは、あなたとは関係ない。あなたは、自分に与えられた道を歩んで、わたしに従いなさいということなのです。ペトロにはペトロの人生があります。ヨハネにはヨハネの役割りが与えられ、「ヨハネの手紙」や「ヨハネの黙示録」を書いてイエスさまの証しをしていきました。わたしたちも、他の人たちを気にかけるあまりに、自分の役割りを果たすことから遠ざかってしまうことがあるのではないでしょうか。
『花』 「花は自分の美しさに気がつかない　自分のよい香りを知らない どうして人や虫が　よろこぶのかわからない 花は自然のままに　咲くだけ　かおるだけ」 （作：河野進）
《祈り》この私に意味を与えてくださる神さま、あなたはこの私では分かり得ない私の賜物を知っておられます。私は人と比べて自分の道を探そうとしています。あなたが与えてくださったこの賜物が自由になれる、自分らしい道を行くことができますように。
牧師　和田一郎
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