生れ変わった人

「だから、誰でもキリストにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去り、まさに新しいものが生じたのです。」 （コリントの信徒への手紙二5章17節）
　「キリストにある」という言葉の意味では、「キリストの中に置かれる」というニュアンスがあります。まさにクリスチャンはイエス・キリストと一体になるのです。キリストと一体になった者は古い自分が消え去り、まさに新しい自分としてスタートしたことを意味するのです。 「レ・ミゼラブル」という物語の中で、主人公ジャン・ヴァルジャンはパンを1つ盗んだだけで19年間刑務所で服役します。やがて仮釈放となった後も「危険人物」とされ仕事を得ることもできずに失意のどん底で教会の前で倒れます。それを祭司が見つけ暖かい食事を与えてもてなしました。 ところがその夜ジャン・ヴァルジャンは、教会の銀の食器を盗み逃亡してしまいました。でもすぐに逮捕されてしまうのですが司祭は彼をかばい「食器は彼に与えたものだ」とウソをつき助けました。 さらに「あなたはこの高価な銀を正しい人になるために使わなければいけない・・・神はあなたを暗闇から抜け出させる。私はあなたの魂を神のために買ったのだよ」といって見送ります。司祭が自分のことを赦し、一人の人間として扱ってくれたことにジャン・ヴァルジャンは感動して生まれ変わる決意をしました。仮釈放の身分でしたが名前を変えて正しく生き直し、なんと尊敬される市長となるのです。 ところが、元刑務所の看守だった冷徹なジャヴェール警部は仮釈放のまま逃げていることを見破り、人間はそんなに簡単に変わることなどできないとジャン・ヴァルジャンを悪人として追跡するのです。やがてフランス革命による混乱の中でジャヴェール警部は命を狙われます。ところが憎んでいたジャン・ヴァルジャンに命を助けられるのです。 「人は変わりはしない」と信じていた、ところが神様が支配し親切、寛容、愛のある世界があると知った。知ったけれど愛される経験のない彼には分かりようがなかった。心が崩壊して自分の命を絶ってしまいました。神の愛に触れて生き方が変わったジャン・ヴァルジャン。彼はいつも新しい一日に心を開いていました。 「新たな一日が始まった。この新しい世界が何をしてくれるのか見てみよう。」
《祈り》主よ、新しい朝と新しい生き方を与えてくださる恵みに感謝します。朝の輝かしき光を悪しき思いで曇らせることがないように。新しい日の務めに出て行く前に、心を低くして、キリストと一体となれますように。
牧師　和田一郎
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