キリスト教の最初の説教

「そこで、ペトロが十一人と共に立って、声を張り上げ、話し始めた。『ユダヤの方々、またエルサレムに住むすべての人たち、知っていただきたいことがあります。私の言葉に耳を傾けてください。』」 （使徒言行録2章14節）
　私は旅が好きなので旅行記を読むことも好きです。新約聖書の『使徒言行録』はイエスさまの弟子たちの宣教旅行記のように読むことができます。しかし意外ですが使徒言行録には使徒たちの説教が多く記されていて全体の25％にもあたります。弟子たちの上に聖霊が降り、それぞれ外国の言葉で語りだすという不思議な出来事の中でペトロが語ったのがキリスト教の最初の説教です。そこでペトロは、聖霊に満たされた弟子たちがさまざまな外国の言語で語るという驚くべき現象は、神さまがすべての人の上にご自身の霊を注ぐという、旧約聖書『ヨエル書』の預言が成就したのだと語ったのです。 　そのペトロが引用したヨエル書には「わが霊を注ぐ」とあります。注ぐというのは、霧のような雨でもなく、にわか雨のようでもなく、豪雨のように注がれるもので、いったん注がれたものは、もう集められないものです。性別や年齢、階層も関係なく、さまざまな人に幅広く注がれることを意味しています。決して一部の人たちだけが受ける賜物ではなくて、キリストを信じる者のすべてが、この聖霊を注がれるのです。このことによりキリストが復活されたことを信じ希望をもてるのです。 「私たちは皆、そのことの証人です。」（使徒 2:32）とペトロは説教で語りました。 キリスト教の最初の説教と同じことが、二千年後の現在の教会でも語られています。つまり旧約聖書の『ヨエル書』のとおり、あらゆる言語で語られるという預言の成就を、今も見ることができるのです。
《祈り》主よ、あなたは言葉によって御業をなしてくださいます。その言葉はあらゆる国の人々が聞き、理解し喜びに溢れます。私はその喜びを証します。私の言葉で、人が分かる言葉で証しすることができますように。
牧師　和田一郎
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