メリークリスマス!ー戦争をやめた人たちー

「いと高き所には栄光、神にあれ 地には平和、御心に適う人にあれ。」 (ルカによる福音書2章14節)
 図書館で一冊の絵本を見つけました。『戦争をやめた人たち』(鈴木まもる作・絵)は、戦争を始めるのもやめるのも人間だと、実際に起こった出来事をもとに描かれています。 第一次世界大戦でヨーロッパの戦場では、鉄条網と塹壕に隔てられた兵士たちが、寒さと恐れの中で命を懸けて戦っていました。1914年12月24日、クリスマス・イブの夜。イギリス軍の塹壕にいた若い兵士は、敵であるドイツ軍の陣地から聞こえてくる歌声に耳を澄ましました。それは「きよしこのよる」でした。言葉は分からなくてもメロディは分かる。やがてイギリス兵も歌い始め、拍手が交わされ、次々とクリスマスの賛美歌が応え合うように響きました。銃声ではなく、歌声が戦場を満たした夜でした。 翌朝、一人のドイツ兵が銃を持たずに恐る恐る塹壕を出て来ました。イギリス兵の一人も近寄り、交わされた言葉は「メリークリスマス」。やがて他の兵士たちも塹壕から出てきてクリスマスを喜び合いました。その時彼らは敵ではありませんでした。相手にも家族があり、子どもがあり、故郷がある。そのことを知ってしまったからです。そして、上着を丸めて縛ったボールでサッカーを始めたのです。 クリスマスが終わると戦闘が始まりました。しかし、彼らは攻撃の命令に対して空に向かって銃弾を撃ち、いっときですが「戦争をやめた人たち」となったのです。 この実話にもとづく話は、戦争を始めるのも、終わりにするのも人間自身だということです。キリスト教信仰をもつ彼らは、聖書の言葉を聞いたことがあったでしょう。「いと高き所には栄光、神にあれ。地には平和、御心に適う人にあれ」(ルカ2章14節)「御心に適う人」とは、特定の国や民族ではなく、神が愛しておられるすべての人のことです。イギリス人もドイツ人も分け隔てなく招かれています。そして、聖書の語る「平和(シャローム)」とは、単に争いがない状態ではありません。恐れから解放され、人との関係が修復され、神との関係が癒され、自分自身を受け入れて生きられることです。それは「状況が整ったら平和になる」のではなく、「神が共にいてくださるから、どんな状況の中でも与えられる平和」です。それは、イエスさまがこの地上に来てくださったことで実現しました。
《祈り》主よ、高らかに言います。「シャローム!」そして「メリークリスマス‼」
牧師 和田一郎
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